5月ー2 メエの異変
「おはよう。」
「……どうもです。」
朝、マジさんが後ろから話しかけてきた。
「テンションが低いな。」
「ただの低血圧です。」
いつも朝はめんどくさい。体が重いし、やる気がでない。俺の場合、1限目までこの調子だ。
「なんでほっといて下さい。」
そう言って、また考えることをやめた。
キーン コーン カーン コーン
1限目終了。さて、サボりということはないだろうが、いちおうメエのことを見にいってみるか。
ということで1年3組の教室に行ってみた。そのときちょうど先生が出てきた。
「おい、高月。」
「なんすか?」
「佐倉のやつが授業に出てないんだが、何か知らんか。」
メエが授業に出てない?
「俺は知らないですね。」
「そうか。大丈夫か?会長がサボりなんかだったら、あまりよろしくないだろ。」
「まあ、先生だって会長がバカなのはよく知ってるでしょ。だからこそ、あの会長はそんなこと考えつくはずないですよ。」
「……そうだな。」
ここにメエがいたら、「ボクはバカなんかじゃない。」とでも言っているだろうな。
さて、そんなことより重要なのはメエが来てないということだ。昨日、調子が悪いと言ってはいたが、まさかあのから元気が休むとは思わなかった。
「あの……」
後ろに心配そうな表情をしているラブがいた。
「いきなりとびだして行ったから何事かと思って。」
言ってはいなかったが生徒会の中で俺とラブだけが同じクラスで、その他はきれいにわかれている。
「ところでメエちゃんはどうでした?」
昨日の様子からラブも心配していたようだ。
「今日は休んでいるみたいだ。」
「そうですか……。……私、昼休みにお見舞いに行ってきます。」
「ああ。できれば様子も教えてくれ。」
「わかりました。」
ここらで教室に戻らないとやばい時間になった。
昼休み……
「で、どうだった。」
食堂で昼飯を食べているとラブが来たのでさっそく聞かせてもらった。
「いかにも体調が悪いって雰囲気でした。目の下にくまができてて、顔色も悪かったです。ご飯は食べれてるみたいです。」
「ただの熱ではなさそうだな。疲れか何かなのか?」
「私にはそう見えました。」
とりあえず、メエは肉体的か精神的かはわからんが、疲れがたまっているらしい。
「ここにいたか。」
マジさんがやってきた。
「例のことだ。」
「わかりました。」
昼飯をさっさと終わらせ、人気のない場所で話したいので、移動してプールの前に移動した。今のシーズンは人気などほとんどない。
「まず結論から言うと原因はわかってない。」
「マジさんでもわかりませんでしたか。」
「ただ、ここ数日、会長はいつも遅刻をしていたらしい。」
「どれくらいですか?」
「ばらばらだが、一番遅れたのは3限目の終わり寸前だそうだ。」
「理由は?」
「いつも寝坊したと言っているらしい。」
確かにメエはバカだ。
おそらく、この学校で誰が一番バカかとアンケートしたら間違いなくトップがとれる。しかし、いけないことはしてはいけないということは、わかっているからサボりみたいなことが嫌いという面も持っている。そんなメエが何日も対策なしはおかしい。あいつなら教室で寝るくらいの奇行をしてもおかしくないのに。
「……マジさん、学校内だけでいいですから、隠しカメラをセットしてくれませんか。」
「……わかった。ちなみに理由は言わないでくれ。前回みたいに巻きこまれると楽しいのは楽しいが、毎回は勘弁だ。」
ということで、明日の結果に期待しよう。
「おはよう。」
「……」
「まだ寝ているのか?」
「あ、おはようございます。」
少し歩きながら寝ていたと思う。いつからとなりにいたのか。
「用意しておいたぞ。」
「ふぁりがとうごふぁいます。」
俺はあくびをしながら言った。
「寝不足か?」
「少し面倒なことをしてまして。」
「そういえば、ゼロは私に機械類はまかせているが、それでいいのか?」
「俺は機械がだめなんです。過去には使っただけでフリーズしたぐらいですよ。」
そんなこともあってか機械にさわるのは極力さけている。
「まあ、データは後で見せよう。」
「お願いします。」
そんなことを話しているうちに眠気が……とばないな。今日の1限目は寝るか。
生徒会棟……生徒会役員が使っている建物。2階建ての教室2部屋分ぐらいの大きさで1階は倉庫になっている。また、2階にはベランダのようなものも付いている。だれがどのような用途で建てたのかは不明。