4月ー17 一騎討ち
「わかった。」
なんとも予想外な提案!どう考えたってこっちが不利なのだから願ってもないことだ。
「わしは日本刀でいく。ぼうずは何にする。」
「この木刀でいい。」
俺は左手に木刀を握って右足を一歩引き、半身になった。構えとしては体よりも前に木刀がでる構えとなっている。
「なんじゃ、お前は素人か?」
「ほっといてくれ。あんたこそまだ40きてないぐらいだろ。なんでそんなじいさんみたいな話しかたしてんだ?」
「これは方言じゃ。」
そんな会話をしながら隙をさがしたが、さすがに場数をふんでいるのか大きな隙がない。小さいのならちらほらあるが、密着しているならまだしもこの距離であんな小さな隙をつけるわけがない。ゆいいつの救いは相手も刀だから相手からいきなりくることがない。
「さて、いきますか。」
俺は突っ込んだ。
キンッ!ガッ!ダンッ!
勝負は一瞬だった。周りにはいつのまにか俺が相手の首に日本刀を突き付けていたように見えているかもしれない。
「えっ?えっ!?」
「何が起きたんですか!?」
したことは単純だ。木刀で手に近いところを叩いて、それで握りがあまくなったところで刀を抜きとり、さらに足ばらいをかけて倒したところに刀を突き付けただけである。
「やるのう、ぼうず。さすが西の夜といったところか。」
「俺の勝ちだ。帰らしてもらうぞ。」
「ああ。すきにしな。」
俺は刀を地面に置き、木刀も背中に戻した。
「ま、待て!」
後ろを見ると若そうな男がメエに拳銃を突き付け、震えた声で言っていた。
「……何のつもりだ?」
「ガキ共なんかになめられたままでいられるか!」
「やめんか!こいつらはわしに勝ったんじゃ!」
「あなたはあますぎる!ただの一騎打ちで帰していいわけがない。」
あいつが何を言っているかなんてどうでもいい。俺は背中の木刀を取り出した。
「おい、メエを離すつもりはないのか!?」
「はあ?当たり前だろ!」
「そうか。なら……死ね。」
木刀を構えてにらみつけた瞬間、周りの全員が萎縮した。その次の瞬間、メエに拳銃を突き付けた男は空を舞った。まあ、俺がのどに突きをくらわしただけだが。そいつは白目で泡をふいて気絶している。
「さて、他のバカなことを考えているやつをつぶすか。」
それに数人がびくっ!とした。まさか、後ろで構えていたことに気付いていないとでも思ったのか。
「だめっ!」
メエが俺の前に立ち塞がった。
「もうだめだよ。」
「お前が人質だったわりにはやさしいな。」
「うん。恐くなかったから。」
「は?」
そういえば人質にとられたメエは恐がっている様子はなく、むしろ楽しんでいたようだった。
「ゼロが助けてくれるって信じてたし。」
「……たしか、俺はお前の味方のことはないと宣言したはずだが。」
「でも大丈夫だと思った。」
メエの根拠のない自信はいつものことか。
「じゃあ、帰るか。」
「帰ろう!」
「すまんのお。」
さっき、一騎打ちをした男が部下に気絶したやつの回収をさせていた。
「そう言えば、なんで一騎打ちなんか持ちかけたんだ?あんたらのほうが有利だったろ。」
「簡単じゃ。うわさの西の夜と戦いたかったんじゃ。」
そんなにうわさになってたか?
「結果は負けじゃが、次は勝たせてもらうからのう。」
「あんたとは永遠に戦うつもりはないよ。」
帰り仕度を始めた。さすがにもう止めようとするのはいない。
そして、俺たちは戻っていった。俺らの本拠地、開明高校へと。
どうも、この頃書くことがなくなってきた、作者のヒッキーです。
言ったとおりですが書くことがあまりありません。ということで、ここで作品中では言わないような細かい開明高校や生徒会についてのことを次から書きたいと思います。
では、次回をお楽しみに。