4月ー16 恐怖
なんかとてもいきおいよく扉が開かれた。そこには人相悪いし、顔に傷のついた男もいる。わあ、あれが歴戦の傷ってやつですか。できればバカな若手だけが来てほしかったな。
「てめぇらがうちのしまを荒らしてるやつらか?」
「そうよ!こいつらよ!」
おいおい、嘘すら言わせてもらえないのかよ。
「ねえ、しま、って何?」
「主にヤクザが自分たちの管轄する地域などのことを言う。」
なんともわかりやすい榊の説明だ。ちなみに補足すると歓楽街のようなところもそう言う。なんともこの場所にあっている言葉だ。
「わからないけど、この人たちはヤクザなの?」
「それがわかっただけでもメエにとってはかなりの進歩だな。」
「おめぇら、何話してんだ!」
さすがにバカトークにヤクザがキレた。
「どうすんですか、マジさん?」
「私のプランにはこんなことはなかったからな。まったく対策がない。」
「この辺の土地事情ぐらい調べておいて下さいよ!」
とりあえず絶対絶命ということだ。
「お前らには冷たい靴をはいて、東京湾に沈んでもらうぞ。」
このごろは人が1人消えればさわがれるようなご時世なのに、よくもそんなことを軽々言ってくれる。
「本当に東京湾に沈めるんだ!感動!」
「ボクは死にたくないよ!」
……なんかメエのほうがまともな気がしてきた。
「ごちゃごちゃうるせえ!後悔するなら自分たちの行動を悔やめ!」
「きゃー!殺られるー!」
ハルさんのせいで緊張感がない。
「あの、本当にどうにかしないと危ないんじゃ。」
たしかに、そろそろやばいよな。なんか相手さんも目がやばいかな。
「ええと、さすがに殺したらやばいでしょ。このことは誰にも話しませんから。」
「そんなのうそよ!」
うるさいなおばさん。だまって聞いてろ!と言いたい今日このごろ。
「勝手に話してここに一生近づかないつもりよ!」
「そういうことらしいから、残念だな。」
「よし、こうなったら最後の手段だ。」
さすがマジさんだ。なんだかんだ言って用意をしていたのか。
「いけ、ゼロ。」
「人まかせですか!」
まあ、自分が最後の切り札に選ばれたことは光栄に……思えるわけないな。どっちかっていうといいめいわくだ。
「おめぇが相手か。」
「まあ、できるだけ平和的解決というのを目指して……」
「うるせえ!」
ボコッ!ドスッ!
相手の若い男の右ストレートが見事に決まった。
後ろの壁に。
そして、俺のこぶしが腹に1発、みぞおちにエルボーをくらわした。それだけで腹をかかえて倒れた。軟弱なやつだ。
「ゼロ、強いー!」
「いや、平和的解決はどうしたんですか!?」
なんかだんだんラブのツッコミの技術が上達しているような気がする。
「一応、正当防衛のはず。うん、そのはず。」
「でも、相手さんは恐い顔になってるぞ。」
マジさんの言ったとおりでヤクザのみなさんが日本刀や拳銃をとりだした。すみません、日本では銃刀法という法律が存在してるんですよ。そんなことおかまいなしだろうけど。
「マジさん、何か武器はありませんか?」
「さっきハリセンを持っていただろ。」
「あれはツッコミ専用で攻撃用ではないです。」
そんなことしているうちにだんだんヤクザが近づいてきている。
「しょうがない。」
俺は背中から木刀を取り出した。
「何でそんなところに木刀いれてるの?」
「もしかしてボクを守るため?」
メエもハルさんもいろいろ言ってる。
「いつ襲われるかわからないでしょ。」
「「なるほど。」」
「納得していいんですか!?」
まあ、ただしい反応ではあるな。でも、だんだんリアクションが大きくなっていっている。
「何言ってるの!ゼロは西の夜だよ!いつ暗殺にあうかわからないよ!」
「暗殺はないからな。」
そんなくだらない会話だが相手はいっこうにこない。よく見ると一番年長の男が止めているようだ。
「なあ、ぼうず。」
「俺のことか?」
「まどろこっしいことはやめて一騎打ちにしねえか?」
どうも、この頃体力低下気味、作者のヒッキーです。
やっぱりゼロはすごいね。さすが西の夜。次は西の夜のゼロ登場?
では、またどこかで。