12月-19 さいかい
「みんなー!」
母屋の前に到着したときには、他の全員がそろっていた。
「メエちゃん!」
「ヤッホー!」
ラブ、ハルさんがメエと抱き合う。久々の再会を喜んでいる感じでもあり、いつも通りにも見える。
「榊もお疲れさま」
「ねぇ、メエ」
「何?」
「踏んでいい?」
「ええっ!?」
ラブが見事なリアクションを見せてくれた。それにしても、いきなりいつもの榊だな。
「ダメ。帰るまで我慢しなさい」
「いや待て」
疲れているのに突っ込んだ。
「帰ってもやらせるな」
疲れているから突っ込みに勢いがない。
「……このネタはゼロ副会長が回復してから」
どうやら勢いがなかったのがつまらなかったらしい。……これからはローテンションでの突っ込みを意識しようか……どうせ無理だろうな。
「会長、お帰りなさい」
「うん、ただいま」
マジさんの言葉にメエは笑顔で応えた。
「それにしても、開明高校の主要メンバー勢揃いだな」
気付いたら前生徒会に現生徒会、風紀部とそうそうたるメンバーだ。
「それよりも本題だ。いきなりここに呼んだのはなぜだ?」
波照間さんがどうでもよさそうに言った。この人、友情とかどうでもよさそうだしな。
「メエが当主に直談判しに行くらしい」
「そうなんだ……え!?」
「本気ですか、会長!?」
「うん」
ラブとマジさんの驚きもメエは軽く答えた。
「こんな山奥に当主がいるの?」
それに対してハルさんはいつも通りだった。
「俺はいると見てます。そうでもなきゃ、この警備の人数は説明がつきませんし」
「メエちゃんもそういう理由?」
「わかんないけど、いる」
メエの言葉にハルさんはちょっと首を傾げたが深くは聞かなかった。
「さて、斑目先輩、もう下ろしてください」
「いやだと言ったら?」
「脊髄を叩き割ります」
「怖い怖い」
斑目先輩は軽い口調で下ろしてくれた。ちなみに、さっきのやりとりは定番のやりとりで特に意味はない。
「ゼロくん、大丈夫なんですか?」
「本調子からはほど遠いがな」
ラブの心配をよそに、俺は体を軽く振ってみた。……だいたい通常の5割弱ぐらいまでは動くようになったか。戦闘は不可能だが、日常生活に支障がない程度にはなった。
「さて、斑目先輩におぶられているという無様な格好をさらす心配もなくなったし、そろそろいくか」
「よーし、レッツゴー!」
メエを先頭に母屋の門に入っていった。