12月-18 一瞬のさらに一瞬
初めて予約掲載システムを使って4日連続投稿をしてみます。とりあえず、明日から5日間、0時に掲載されると思います。
こちらの雰囲気が変わったのを感じてか黒服も構え直した。さっきと同じように体も揺らしている。
「……関係ない」
俺は1歩、踏み出した。
たった1歩。
それだけで俺は黒服を打ち抜いていた。
「がっ!」
黒服が攻撃に反応する間も、1歩で近づいてきたことに驚く間もなく胸を打ち抜いた。その勢いで黒服は地面に叩きつけられた。
衝撃から判断するなら多分、黒服の骨は折れていないだろう。ひびすらはいっていない気がする。しかし、突きと地面に叩きつけられた衝撃で気絶はしているらしい。
「ぐっ!」
それよりもこっちがやばいな。体中に激痛が走っている。ぎりぎり歩けるが、正直やばい。
俺はゆっくりと歩いて、どうにか縁側に戻った。そして、縁側の奥にある扉を開いた。
「黒岩? どうしたの?」
そこにいたのは、相変わらずの制服姿で和室の真ん中に座っているメエだった。
「ゼロ……?」
「迎えに来たぞ、バカ……」
「ゼロ!」
立ち上がってこっちへ走ってきた。……って、ちょっと待て!
「ゼロー!」
予想通り、メエは飛び込んで来た。そして、俺の体はズタボロ。
「がふぁっ!」
そんなわけで、メエを受け止められずに、もろに食らって倒れた。
「え!? ゼロ!? 大丈夫なの!?」
心配してくれて俺の体がおもいっきり揺すられる。
……マジで死ぬ。
「ストップ」
誰かがメエを止めてくれた。
「そんなんじゃ、イケメンが死んじゃうよ」
それが誰なのか数秒でわかったので、おもいっきり不機嫌オーラを出して牽制してやった。
「おお、怖い怖い」
意に介していないのがよくわかる斑目先輩のセリフだ。
「さて、このあとはどうする」
「……逃げますよ」
俺は少し回復した状態でそう言った。
おそらくだが、今はあの人がいる。何も対策のできていない状況だし、今回は逃げるべきだろう。
「了解」
斑目先輩は俺をおぶった。いろいろと文句は言いたいが、今はさっさと逃げるためにもありがたい。
「待って!」
「どうしたんだい、メエちゃん」
走りだそうとしていた斑目先輩は止まった。
「ボクは会わないといけない気がする」
メエがはっきりとそう言った。
気がする、か……
「斑目先輩、目的地変更です」
そう言いながら、俺は耳を2回叩いた。
『どうした?』
「マジさん、全員に中央の母屋の前に来るように言ってください。マジさん達も、システムが大丈夫そうなら来てください」
『わかった』
マジさんは理由も聞かずに納得してくれた。
「いいのかい? 勝てる見込みはないんだろ?」
「一応、俺はメエの部下なんで、たまには上司の意見を聞いてあげることにしただけです」
後ろを見るとメエは笑顔で親指をグッと立てていた。
そういうわけで、俺らは最後の関門に挑むこととなった。