12月ー11 タイミングを狙え!
何度目か忘れたすいません!!!!
全員の表情に驚きはなかった。
「……やっぱりって感じだな」
「ねぇラブちゃん、ちょっと廊下に出て」
「え? はい」
いきなりハルさんが口を開いたと思ったら、なぜかラブを廊下に立たせた。結果的にラブと正面で見つめあう形になってしまった。
「えっと……ハルさん。どういうつもりですか?」
ハルさんだから嫌な予感しかしないが。
キッ!
バスがブレーキをかけた。そんなわけで、体が少しだけ後ろに持っていかれる。
「どーん!!」
「きゃっ!」
そんなタイミングでハルさんはラブを後ろから押した。当然、ラブはこっちに突っ込んでくる。避けようにも廊下は狭いし、そもそも避けたらラブが危ない。
しかし、俺も少しだけ体勢が後ろにいっていたわけで、結果としてラブを受け止めきれずに倒れてしまった。
「いっつ……ラブ、大丈夫か?」
「はい……大丈夫で……」
「「!!」」
目の前にラブの顔があった。それはもう見事に目の前に。
「あっ……あっ……」
相手に心音が聞こえてるんじゃないかと思うくらい、心臓がドキドキしている。早くラブによけてほしいが、ラブは完全にパニック状態らしく、引きつった表情のまま言葉にならない音を出している。
「大丈夫でございますか!?」
「!!」
運転をしていたじいが声をかけてきたのに驚いて、ラブが離れてくれた。
「だ、大丈夫だ。運転を続けてくれ」
立ち上がりながらじいに言った。どうやら音に反応しただけで見られてはないようだ。
「ちぇっ」
ハルさんがあからさまに舌打ち、というか口でちぇっと言った。
「ハルさん、なんかあからさまに残念がりませんでしたか?」
「気のせいだと思うよ〜」
どう考えてもうそだろうが、追及したところでハルさんが認めるわけがない。
それにしても、昨日あんなことがあって今日はこれか。……意識するなというほうが無理がある。
「……」
「あの、ゼロくん」
「な、なんだ?」
……少し動揺が出てしまった気がする。
「ごめんなさい。けがはありませんでしたか?」
「……ああ」
「それならよかったです。本当にごめんなさい」
「これくらい、気にするな」
そう言うとおじぎして、ラブは自分の席に戻ってしまった。
なんか、俺だけ変にドキドキしてただけみたいだな。よく考えてみれば、ラブが告白してきたのも俺を押すためだったし、好きじゃないかと思ったのは恋愛事が苦手な俺だしな。落ち着いて考えればわかることだった。
俺は自分の席に座った。そういえば、俺の話はどうしようか。……いつかでいいか。どうせ、そこまで重要な話ってわけでもないし。