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開明高校生徒会録  作者: ヒッキー
12月
156/172

12月-10 あいつが見ていた世界

 ……終わったな。


 パチパチパチパチ……


 さっさと多数決を取って壇上から降りようとしたら、誰かが拍手を始めた。斑目先輩だろうと思って見たら、他の知らない生徒。


 パチパチパチパチパチパチパチパチ……!


 そして、それが連鎖するように広がっていく。


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……!!


 それが体育館すべてを包んだ。


「どうして……?」


「これが生徒の答えだ、副会長」


 斑目先輩が勝ち誇ったような表情をしながら言った。なぜ斑目先輩が勝ち誇った表情してるのかとか思ったが、体育館の拍手を聞いてたらどうでもよくなってきた。


「お前は何を言っとんだ!!」


 しかし、そんな拍手を怒声が切り裂いた。誰かと思ったら、生活指導の教師だ。


「いきなり生徒総会をさせろと言ってきて、しかも内容はそんなこと! 生徒会は権力を使うための場所じゃないんだぞ!!」


 いきなりの乱入者に生徒たちは冷めてしまった。


「まあまあ、落ち着いてくださいよ」


 そんな教師をなだめようとしたのは、変態(中山先生)だ。


「熱くなってはいい話し合いも出来ません。もっとクールに……」


「養護教諭が口出しするな!!」


 やっぱり変態(中山先生)程度じゃ熱くなった人間を止められないか。


「なら、養護教諭じゃなきゃいいんだな」


 そう言って前に出たのは、笹川先生だ。


「笹川先生。なんですか?」


「たしかに生徒会のやり方は少し強引だ。だが、佐倉の帰りたいという言葉をそんなことで片付けるのは間違ってるだろ」


 笹川先生の言葉に生徒達も同調して体育館は大騒ぎになっている。


「ストップ!」


 俺はそんな声を止めた。


「実は、もう1つしないといけないことがあるんだ」


 今は全員がこっちを見ている。


「実は、明日予定されていたクリスマスパーティーだが、中止になる」


 少し残念そうな空気になったが、しょうがないかみたいな感じにおさまった。


「しかし、代わりにメエのお誕生会をしてやろうと思う」


 会場がまたざわつき始めた。


「だが、残念ながら生徒会はちょっとした用事があります。その準備をお願いしたいんです」


「それくらいやってやるよ!」


 斑目先輩が間髪入れずにそう応えると、また体育館は拍手に包まれた。


「お誕生会は午後6時からを予定してるから、よろしく!」


 俺は壇上を下りるとダッシュで裏口から出た。そして、校門近くに止めてあったマイクロバスに乗った。


 中には生徒会メンバーと運転手。


「出してくれ、じい」


「わかりました」


 そのままバスは出発した。


「うまくいったのか?」


 出発を確認してから、後ろの方にいたマジさんに話しかけられた。


「完璧に、って言えたらかっこよかったんでしょうけど、また斑目先輩に借りを作っちゃいましたよ」


 俺はそう言いながら空いてる席に座った。


「さっすが前会長。私たちの考えなんてお見通しって感じ?」


 ハルさんが軽く笑いながらそう言った。


「それで、このバスって何?」


 榊が一番後ろの席で横になりながら言った。


「……もしかして、榊って乗り物苦手なのか?」


「電車や船は大丈夫だけど、車類だけはだめ」


「……そうか」


 なぜ車より揺れそうなものは大丈夫なんだ? それにしても、なんというか……弱っている榊というのはかなり新鮮だな。一応、このバスは振動を最小限に抑えているから、そこまでつらそうではないけど。


「あの、このバスってなんですか?」


 答えていなかった質問をラブが改めてしてきた。


「大体の人間はわかっているだろうけど、一応紹介させてもらおうか」


 俺は立ち上がってバスの廊下で全員の顔が見える方を向いた。


「高月 零夜はちょっとした偽名。本当の名前は音無 希。鈴の兄にして現音無グループの社長の甥だ」


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