12月-4 個人的な理由についてくるはずもない
「「「佐倉グループ!?」」」
「……って、なんだっけ?」
全員わかってくれなかった。
「榊、頼む」
「佐倉グループ。古くから多くの会社を傘下に持っている大型グループ。現在は系列会社を何社も持っており、現在もっとも影響力があると言われる会社」
「ゼロ! 日本語に訳して!」
……ハルさん、結構わかりやすい説明だったんですけど。
「そうですね……紅の九鳳院家みたいなものです」
「あの、それはたぶん余計にわからなく「わかった!」わかっちゃうんですか!?」
ラブ、ハルさんを常識で考えようとしたって、意味がないからな。
「会長はそこの娘だと?」
「そうですね。ついでに言うと、あいつは一人娘で佐倉グループは世襲制度なんで、ほぼ間違いなく次期佐倉グループトップです」
「もしかして、佐倉グループのトップと私はお友達!? 私すごい!」
ハルさんのテンションが上がり始めた。さっきまで佐倉グループを知らなかった人間なのに。
「会長が佐倉グループの一人娘なのはわかったが、会長を連れ去ったのは間違いなくそこなのか?」
「ほぼ間違いないです。リムジン車にあそこのマークになってる桜が付いてましたし、メエも知ってる風でしたから」
ここまで説明したら、マジさんは大きくため息をついた。
「状況は、最悪と言っても過言じゃないな」
マジさんは完全に今の状況を理解した。
おそらく、マジさんの予想していた相手はヤクザや裏で何かを狙っている富豪みたいなものだっただろう。
しかし蓋を開いてみれば、相手は多数の企業を傘下に治める超大企業。しかも、メエの親でもあるというおまけ付き。
「ラブ、さすがに会長がどこに連れ去られたかはわからないよな?」
「……すみません。実際に会ったことのない人間の動きを読むのはさすがに……」
「そうか。すまないな」
マジさんはラブの可能性に賭けたかったみたいだが、さすがに情報がない人間の行動まではわからないらしい。
「……絶対に会長の居場所を突き止める」
「まだ助けるつもりですか?」
その言葉にマジさんの表情にまた怒りが浮かんだ。
「お前はなぜ会長を助けに行かない!!?」
「あなたは迎えが来たのに、それを正義の味方みたいに殴りこみに行けと?」
「それは……」
マジさんの言葉がまた弱くなった。
仮に見つけれたとしても、助けに行く理由がない。いや、助けるべき理由がない。
相手はメエの親。つまり、メエを強引に連れ帰っても問題ない。しかも、メエが嫌がっているならまだいいが、そんな素振りもない。
生徒会には大義名分がない。
これじゃあ、誰も味方になってくれないうえに、学校も間違いなく邪魔してくる。
「それに、あなたはわかっていないんですよ、その行動の意味が」
俺はそれだけ言い残して、生徒会室を出た。
「くそっ!!」
マジさんの叫び声が後ろから聞こえた。