予告編
私立開明高校。所在地は大阪の郊外。12年前にできた比較的新しい高校で、学校の象徴に白桜がある。少し高台にあり、全寮制の形をとっておきながらかなりの生徒数を誇る。しかも授業料が他に比べて安く、それゆえ人気校で大学進学率も年々上がっていっている。
そしてこの小説は、そこの生徒会が巻き起こした出来事を描いた物語である。
そんな生徒会もついに12月を迎える。
俺は、なにかあるときには必ず桜の花があった。
「とにかく派手にドカーンと!!」
「頼むからもうちょっと普通にして……」
「お嬢様。」
しかし、今回は桜の花はなかった。
「お迎えにあがりました。」
あったのは……
「バイバイ……ゼロ。」
白い幹を持つ桜の木と、春を待つ桜の芽だけだった。
開明高校生徒会録~THE LAST MONTH~
「なぜ会長を助けに行かない!!?」
「あなたは迎えが来たのに、それを正義の味方みたいに殴りこみに行けと?」
「それは……」
「それに、あなたはわかってないんですよ、その行動の意味が。」
「……くそっ!!!」
憤り
「ゼロ、泣いてもいいんだよ。」
「泣く?誰が?」
「ゼロが。」
「俺が?勘弁してくださいよ。そんなことはありません。」
「そうかな?私は、泣きたい気分だよ。」
悲しみ
「……人を踏めない。」
「それはいい傾向だろ。」
「後ろ盾がないから踏めない。」
「よし、お前が捕まっても生徒会は全力でお前を擁護しないことにしよう。」
「会長の存在は、それほど大きかった。」
後悔
12月22日。ただ1人の役員がいなくなっただけ。ただ会長がいなくなっただけ。ただ仕事をせず、座ってただけの人間がいなくなっただけ。なのに、生徒会は崩壊寸前だった。
「もうどうしようもないんだ。」
俺なんかじゃどうしようもない。
「もう、どうしようもないんだ。」
これは運命だ。
「もう……どうしようもないんだっ……」
覆すすべは……
ない
夕方の屋上。俺はただそこでたたずんでいた。いや、正確にはただたたずんでいたわけではない。人を待っていた。
「遅くなってすみません。」
「私の気持ちをあなたに伝えます」
「私は、あなたのことが……」
彼らは終わるのか、それともまだ進むのか?
誰も何も答えはしない。
始まりあれば終わるもの。もしかしたら、これが終わるべき時なのかもな。
だが、ただでは終わらない。
伏線回収を!
年始にごめんなさい。