11月−17 嵐の裏側
「さすがだねぇ。」
僕は屋上から下を見ながらそう言った。見えるのはメエちゃん達、現生徒会メンバーに聴衆。生徒会メンバーはもちろん、聴衆まで笑顔になってる。
「あのメンバーを見ていろなんて、言われなくてもするんだけどね。」
「こんなところで何やってるんですか、中山先生?」
のんびりと後ろを向いた。そこにいたのは斑目龍騎、宮野美香、波照間陽の3人。前生徒会のトップ3がそろってる。
「かわいい生徒達の笑顔を見てたんだよ。」
「できればかわいい私の顔も見てほしいな。それとも、メエちゃんみたいな幼い笑顔がいいの?」
そう言って宮野は、にこっと笑顔を浮かべた。
「黙ってろ、宮野。つーか、お前だって人のこと言えるほど大人っぽくないだろ。」
波照間はめんどそうに言った。相変わらず、愛用のドスを持っている。
「まあまあ。美香ちゃんもメエちゃんもかわいい。それでいいじゃない。」
そして斑目。こいつは笑顔だが、何を考えているかわからない。斑目の表情は飾りと言っても過言じゃないからな。
「それにしても、前生徒会メンバーが生徒会選挙を見に行かないなんて、後輩がかわいそうだと思わないのかい?」
「かわいいとは思うけど、かわいそうはないよ。俺達の票が他の人より価値があるわけじゃないんだし。」
「俺においては選挙管理委員会にいるから投票権もねぇしな。ぶっちゃけ、どうでもいいだろ。」
斑目と波照間が答えた。
さて、こいつらは何を考えているのか。改革王、斑目龍騎。そして、その脇を固めた副会長、宮野美香に波照間陽。やっかいさだけなら、現生徒会の数段上をいく奴らだ。
パンッ!
「!」
突然、斑目が手を叩いた。
「さて、帰るか。」
「……なんだと?」
帰る?何もせずにか?
「……なんでここに来たんだ?」
後輩たちの演説をほっといて来たんだ。何もない、はないだろう。
「俺はこれが何かやるつもりみたいだったからついていっただけだ。」
「私も、なんとなくりゅーきくんについていっただけだよ。」
ありえない、かと思ったがこの2人ならあり得る。なんせ教師の言うことは絶対に聞かなかったが、斑目だけにはついていった。そして言われるようになったのが改革の三頭。
それゆえ、行動が斑目がいたからいたで通る。
「俺はもちろん違うけどね。」
やはり斑目には別の目的があったか。
「実は俺も上からみんなの笑顔を見たかったんですよ。」
「……それだけかい?」
「そうですよ。」
本当にそれだけなのか?
「早く下に行かないと終わっちゃうよ?」
「そうか!」
宮野に言われて斑目と宮野は下りて行った。残ったのは波照間と僕だけ。
「中山先生。あのバカ野郎から伝言だ。」
「伝言?」
「手を出すな。以上だ。」
波照間は軽く嫌な笑顔を見せておりた。
「……大丈夫さ。」
僕は一度、深呼吸して下を見た。まだ斑目たちはついてないらしい。
「僕は何もしないよ。」
そっちを見ながら、独り言をつぶやいた。
これにて11月はおしまいです。
今年中に生徒会新聞も出したいと思います。
年内に終わらす?言ったでしょ。有言不実行って(最悪の言い訳)