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開明高校生徒会録  作者: ヒッキー
11月
143/172

11月−16 嵐の後はみんなで

 「高月!!」


 聞きなれてしまった声だ。しかし、今までの感情を押し殺した感じでなく、はっきりと怒りの感情がわかる。


 「早いお帰りですね、新島さん。」


 後ろにいた新島さんは、厳しい表情をしている。


 「裏切ったのか!?」


 「変なことを言わないでください。俺は中立。だから、お互い平等にチャンスを与えただけです。」


 「こちらの情報を流すことがか!?」


 冷静さを完全に失っている。さっきまでの周りを気にしている新島さんとは、まるで別人だな。


 「答えろ!」


 「……白桜を切ること。それは、そんなにいけないことですか?」


 「なんだと!?」


 「白桜を切る。よりよい生徒の生活のためにはあながち間違いと言えない。そうでしょ。」


 「……」


 白桜を切る。その判断が絶対に間違いかと言われると、俺なら、絶対ではないと言う。


 学生のためによりよい学校を作る。それは間違いではない。そのために邪魔ならしょうがないという考え方もできる。


 「し、しかし、反対意見もあるだろ。」


 「メエは反対層も味方に加えましたよ。」


 「それは……」


 「正直、最初から最後まで不干渉でもよかったんですけど、せっかくだからメエかあなたたち、どちらかを勝たせようかと。」


 「そのための、今までか。」


 新島さんは悔しそうに言った。新島さんの目論見は偶然だが、こちらとしては、好都合だった。


 「学校一の注目を受けた二極。ちゃんと票も集まってくれた。」


 「そしてこれか。」


 メエと西蓮寺さんの一騎打ち。結果は、メエの勝利となった。


 「こんな戦い……」


 「おやめなさい!」


 西蓮寺さんが集団の中から現れた。


 「私たちの負けですわ、馨。」


 「しかし……」


 「私は漠然とあなたの言う通りに動いてきたわ。しかし、佐倉さんは自分で考えて動いていた。その差が出たのですわ。」


 さっきまでの西蓮寺さんとは違う。一皮むけたみたいだ。


 「次は勝ちますわ。」


 「できれば戦いたくないですね。」


 「……行きますわよ、馨。」


 西蓮寺さんと新島さんはこうして、去って行った。


 「ゼロ!」


 そして、タイミングよくメエが来た。後ろには全員いる。


 「約束忘れてないよね。」


 「おかげさまで休みを全部使うはめになったぞ。」


 「終わったらしようね。」


 メエは笑顔でそう言った。俺も、みんなもなんとなく笑った。


 なんだかんだ、俺はこの生活を楽しんでいるんだな、と思った。



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