11月−6 ついに来た嵐
「え……」
マジさんが暴力行為?
「マジがそんなことするわけないよ!」
「しかし、それが事実だ。」
「そんなわけない!!」
マジさんが暴力行為?そんなことありえるのか?でもそんなこと……
「あいやまたれい!!」
ハルさんが波照間さんと俺らの間に入った。
「お前はたしか……」
「生徒会会計、藤原 ハルさんが生徒会長有力候補?……想像できない。
「そんな時期もあったけど、私は会長向きではないですよ。ゼロと同じ理由で。」
「まあ、そうだろうな。」
なんか変な雰囲気の2人だな。
「すみません!真島先輩が大変なことに!」
ラブが帰ってきた。ここで話を切るか。
「そのことについては聞いてる。波照間さんも、これからの対応について話したいんで、これ以上要件がないようなら帰ってもらってかまいませんか?」
「まあ、そういうことなら帰ってやるとするか。一応言っとくけど、真島についてはどうせすぐに解放されるようになるさ。」
波照間さんはそう言うと去っていった。
「よかった!マジはすぐに解放されるんだね。」
「……そうだな。」
メエは嬉しそうだが、俺は険しい表情をしていたと思う。
「ラブ、詳しい状況はわかるか?」
「あの、ごめんなさい。人が多くて真島先輩と離れてしまって……」
「いや、謝らなくていい。……なら、ラブのわかる範囲で説明してくれないか。」
「は、はい。」
ラブの説明によると、最初はマジさんと一緒だったが候補者の張り出される掲示板の前は人がいっぱいで、ラブはとても入れなかったらしい。
そういうわけで身長の高いマジさんに入ってもらい、ラブは外で待っていた。しかし、なかなかマジさんは帰ってこず、どうしようと考えていたら校舎裏から助けてと叫び声が聞こえた。行ってみるとマジさんが風紀部に捕まってラブも事情聴取のために風紀部についていったらしい。
「質問されたことは?」
「ただ、なんで来たのかとかとか、どうしてたかとか、確認みたいな質問でした。」
つまり、ラブはマジさんの意見にブレがないかの確認のために連れていかれたのか。
「その被害者って誰かわかる?」
横からハルさんが質問した。
「名前はわかりませんけど、2年生の人でした。黒淵のメガネをした。」
「了解。やっぱりあいつか。」
その特徴からすると新島さんで間違いないだろう。
「?あの、あいつって?」
そういえば、まだあのことを話していなかった。
「ちょうどいいし話しておこう。」
俺は今日起こった出来事を大雑把に話した。
「なるほど……そんな新キャラが!?」
「ハルさんはほっといて、マジさんはほぼ間違いなく冤罪でしょう。しかし、目撃者なんていないだろうし、いたとしてもあっちの仕込みと考えるほうがいい。」
「なら、真島先輩はどうなるんでしょうか!?」
ラブもそのことがかなり気になってるみたいだが、こればっかりはわからない。相手がどういう性格なのかもはっきりしてないからラブを頼ってもはっきりした結果はでないだろうし。
「ここはとりあえず情報だな。ハルさん、あの2人の人気ってどうなんですか?」
「うん、結構ビミョー。」
「微妙?」
「そう。ビミョー。しかもかなり。」
なんともリアクションしづらい。
「どうして微妙なんですか?」
「なんかさ、いろいろと注目は集めるのよ。サイレンはあのキャラだし、カオルンもけっこう濃いキャラだもん。」
たぶんサイレンは西蓮寺さん、カオルンは新島さんだろう。
「だけどさ、やっぱりあそこまでクセのあるキャラだと次に何をやらかせてくれるんだ?みたいな期待感はあるけど、人気と言われるとビミョー。」
そういうことならあまり大量の票は獲得できないだろうが、それだと問題な点もある。メエも似たタイプ……そういうことか。
「ありゃりゃ?もしかして、ゼロはなにかに気付いちゃった?」
「そういうハルさんはどうなんですか?」
「下級生にわかることが上級生にわからないなんてあっちゃいけないことなんだぜ。」
ハルさんは笑顔で言った。やっぱりハルさんはわかっているらしい。
「今日はここで終わりにしよう。マジさんとゆっくり話すのは明日のほうがいいだろ。」
「……そうだね。」
メエの言葉を聞いてすぐに俺はカバンを持って外に出た。
わかってしまった。この選挙、結果は俺次第だ。