4月ー12 遭遇
「ねえ、こんなところに用事なんてあるの?」
俺らはメインストリートから少しはずれた路地裏にいた。
「ここが何て呼ばれているか知っていますか。」
その俺の言葉にハルさんは首をかしげ、マジさんはかるくうつむくだけだった。
「裏繁華街。またの名を遊郭街。」
「ゆ、遊郭!?そんなところになんで行くわけ!?」
俺は意味深な笑顔をうかべてさらに奥に進んだ。
「キャー!わたしが売り飛ばされるー!」
ハルさんの言い方だと楽しんでいるようにしか聞こえない。
「やめてよー!」
「あの、暴力はダメです!」
なんか聞き覚えのある声だな。
「私は初めてデジャヴを感じたな。」
「俺もです。」
「わたしもだよ。」
本当にデジャヴであることを祈りつつ声のほうをのぞいてみた。
「いいじゃないかよ。こんなところに小学生と中学生がいる時点でやばいことだろ。」
「ボクたちは高校生だ!」
「うそだろ。どう見ても中学一年生ぐらいに、小3ぐらいだろ。」
4人くらいにかこまれているが小3に見られる高校生でボクと言うやつなど俺は一人しか知らない。
「おい、そこのバカは知り合いなんだが。」
「はあ?なんだよ!?」
こっちを向いた4人は顔を青ざめた。
「まさか……お前は西の夜か!?」
「「西の夜?」」
メエとハルさんは聞きなれない単語に首をかしげた。
「だったらなんだ。」
「今日はこんなもんにしといてやるぜ。」
捨てゼリフだけ言って逃げていった。
「あれ?そういえばなんでマジもハルもついでにゼロまでいるの?」
「それはこちらのセリフです、会長。」
マジさんの言う通りだ。メエには何も言っていないはずなのにどうしてここに来ているのか。しかもここは裏繁華街。入る場所も入り組んでおり、ここまで深いところまで来ることは容易ではない。
「ボクはなんとなくこの辺で校長のスクープがとれる気がしたから来たんだよ。」
「私はそれに巻き込まれてしまいまして。」
つまり勘だけでここまで来たていうことか。普通ありえないな。
「で、ゼロたちは?」
「わたしたちはゼロについてきただけだよ。」
「まあ、目的はお前らと変わらない。」
「もしかして校長の弱み探し!?」
もう少しましな表現はなかったのか。
「とにかく目的地があるからそこで話す。」
俺はさっさと目的地に向かった。
「ここだ。」
そこはあるキャバクラの前の廃ビルの2階だった。
「目的地についたならちゃんと説明してよ。」
メエがこっちを見ながら言った。
「俺の予想だが校長は……」
「そんなことはどうでもいい。」
「は?」
ならメエは何をききたいんだ?
「ボクが聞きたいのは西の夜ってなんなのかだけだよ!」
「わたしも聞きたーい!」
ああ、そっちの話か。校長についてはどうでもいいのか……いいんだろうな。
「めんどいしマジさんに頼みたいんですけど。」
「私もよく知らない。」
「そう言うと思いましたよ。」
やっぱり俺が説明することになる。
「中学以前は俺もいろいろしててな。そのときにとおっていた名前が、西の夜だ。」
「ちなみに噂ではある学校の不良グループが無くなった、100人の不良に囲まれても無傷で生還したとかあるぞ。」
「あることないこと噂になってるんだな。」
そこまで派手な噂を勝手に立てないでほしい。というか100人に囲まれても無傷って人間じゃないだろ。
「あの、校長については何なんですか?」
そういえば校長の弱みを握るためにここに来たのだった。メエやハルさんに流されて忘れてた。
「とりあえず今日は校長がキャバクラに行っているという情報が手に入ればいいんだ。」
「おもしろそうね。」
「へ?」
「はい?」
ラブといっしょに声を出してしまった。後ろを恐る恐る見てみるとそこには榊がいた。
「ど、どうしてここにいるんですか?」
「坂下通りから高校に帰ろうとしたらここにでた。」
おいおい、坂下通りと開明高校の位置関係を考えると真逆だぞ。俺らに会わなかったら帰れずにのたれ死んでいたんじゃないか?できればあってほしくないことだ。
「あっ、校長が来たよ。」
どうも、眠さのあまり夢と現実のはざまにいる、作者のヒッキーです。
ついに校長に急接近。次は校長の秘密を暴く?
では、また会いましょう。