9、10月−55 スルーブレイク!
「さて、俺ら以外のほうはどうなりましたか?」
俺は千里眼を持っているわけではないので他に説明要求。
「ハルちゃんは無事勝利して姫ちゃんを好き勝手する権利を手にいれた!」
「よかったです……」
「スルーなんてさせてたまるかー!!」
「まだ言い切ってないです!」
この人は俺のスルースキルの上昇よりも早くスルー防止スキルが上がっていくからスルーできない!!
「どうせ花咲がワイヤー使いで姫ちゃんって呼べたから、勝ったら好きにできて、負けたら言うことを聞くとか言ったんでしょ。」
「タララン!ゼロは千里眼のスキルを手にいれた!」
「ラブのほうはどうだった?」
「流された!?」
何か言ってるが無視。
「えっと、なんとかなりました。」
「すまないな。」
「い、いえ……」
やっぱり怒ってはいないみたいだが、困惑みたいなものが見える。それはそうだろうな。なんせ相手はクラスで一番話している友達。人数の振り分けでこうするしかなかったとはいえ、こうしてしまったのは俺だ。実際なら本気で殴られても……
ごすっ!
「いっつ!」
後ろからハルさんに殴られた。
「ラブちゃんは優しすぎるから私が代わりにしてあげる。それと、今は忙しいんだから、償いはもっと暇なときにやりなさい。」
……まさかハルさんに説教されるとはな。俺も落ちたもんだ。
「ラブ、今度の休みにでも街で何かおごってやる。それでいいか?」
「えっ?あ、あの、それは2人で……ですか?」
「?もちろんだ。」
なんでラブにお詫びをするのに他の人間を呼ぶ?あ。もしかしてトバリも呼んだほうがいいってことか?……でも、今回はラブだけだろ。トバリは敵だったわけなんだし。
「というわけで、それでいいか?」
「は、はい!!」
ラブは勢いよく答えてくれたが、なぜ顔が真っ赤なんだ?
「そういうゼロはどうだった?」
俺もやっぱり報告しないといけないか。
「メエや式守の乱入はありましたけど、どうにかなりましたよ。そういうマジさんは大丈夫でしたか?」
「榊が倒しまくってくれたから楽だった。」
「踏みがいがなかった。」
榊はほっておこう。
「体育館の中はどうなってますか?」
「見るか?」
マジさんがパソコンをこっちに向ける。そこに映っていたのは……
「次の問題だぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
斑目先輩が映っていた。
「俺はおもしろそうなやつらを集めて次期生徒会を決定した、ってお前ら早すぎだろ!なんで当たり前のように○の方に行ってんだ!?いいよ!どうせ○だよ!!」
そして、ステージの上には○と×の書いた板をもつ宮野さん。
「……何をやってるんですか?」
「見ての通り、○×クイズだ。」
いや、それは見ればわかる。
「実は高月達が来る前に、斑目前会長から電話がかかってきていてな。そこで、体育館の中は任せな。そこだけクリアすればあいつがどうにかするはずだ、と言われてな。だから任せたんだ。」
つまり生徒会のメンバーだけじゃなくて、斑目先輩や多くの人間に助けられたわけか。まったく、うれしくない事実だな。
「これ以上助けられたら俺のプライド的に死にたくなるんで、さっさとどうにかしましょう。」
俺の言葉になぜか他の生徒会メンバーが笑ったが、今は追及しないでおこう。
「しかし、実際にどうするんですか?まさか、事実を発表したり、何もなく解放するわけにはいきませんよね。」
「確かに、ラブの言うとおりだ。だから、メエを動かしていたんだ。」
「え?」
ラブはわけのわからないみたいだ。そりゃそうだろうな。
メエへの指示だが、実は何かこれだと思うものを持ってこいと言った。簡単に言うと邪魔だからどっか行ってろってことなんだけど。
「ボクの見つけたものは、これだよ!」
メエの取り出したのは『燃やしても大丈夫』と書かれた風船だ。たしか、どっかの環境をテーマにしていたクラスが販売していたものだ。
「すごいでしょ!?」
「しかし、これでどうするんですか?」
「え?……それはみんなで考えよう!!」
やっぱり考えなしに持って来たのか。こんなものでどうやって……ちょっと待て。何かひっかかって………………そうだ!あれだ!
「どうにかなるかもしれない。」
「え?」
「俺の言うとおりに動いてください。」
ゆっくりと周りを見る。
「生徒会も騒ぎましょう。」