9、10月−53 このタイミングで新キャラ
シリアスに無理やりギャグをいれた結果がこれだよ!
「「え?」」
「ちっ!」
何かが飛んでくる気配に叩き落とそうかと思ったが、そんな時間はなくメエをかばうようにその場を動かなかった。
ガッ!ガッ!ガッ!
「くっ!」
背中に3発ほど当たった。岩とかとは全然違う。何が……
「……シャーペン?」
そこにあるのはシャーペン。痛いけどシャーペン。
「リアクションとりずれえ!!そして地味に痛い!!」
「シャーペン!?まさか……式守か!?」
「さっすが部長。よくわかってますね。」
後ろにいたのはウェーブしたブロンドの髪で、その上には真っ赤で大きなリボン。まさにお人形さんという表現がピッタリくる少女だ。
「はじめまして、副会長さん。私は……」
「言わなくても知ってる。式守 優香だろ。風紀部副部長の。」
「さっすが副会長。いや、さっすが私?」
噂にはよく聞く。1年生ながらも風紀部の副部長になった生徒。さらに、かなりの人気者でその容姿と明るいキャラのおかげで非公式ではあるがファンクラブまであるらしい。
しかし、もう1つの有名な噂もある。式守 優香は異常なまで志木さんを愛している。式守の行動はすべて志木さんのために。志木さんのためなら後ろ暗いことでもやってのけるとまで言われている。しかし、実際に式守の取り締まり数は風紀部トップ。部長に推されたが志木さんに譲った。
式守ではなく志木守。
そこまで言われるぐらいだ。さっきまでのタイミングでいないほうが不思議だったがここのタイミングで加勢してくるとはな。完璧すぎて泣けてくるぜ。
「ここに来た理由はわかっちゃってますね?」
「ああ。うまく行き過ぎてると思ってよろこんでいたんだが、そうすんなり行くわけないか。」
「では、邪魔者には消えてもらうよ。」
またシャーペンが同時に5本飛んできたが、完璧に見えている状態で叩き落とせないほどじゃない。
キンッ!
「!ちっ!」
叩き落とそうとしたがすぐさま方向を変えるほうに切り換えた。
「え!?どうしたの、ゼロ!?」
「……」
「これが私の必殺技、ジャイロシャーペン!!」
銃弾みたいにジャイロ回転しながら襲い掛かってくる。この手のは弾くとなると簡単なのだが、叩き落とすのは厳しい。というか、どうやったら同時に投げた5本のシャーペンにジャイロ回転を加えられるんだ?
「簡単に私の志木先輩には手出しさせませんよ!」
変な誤解を招きそうなセリフはやめてほしいものだ。
「しかし、お前の力程度では俺の相手にならないぞ。」
どんなに威力がある攻撃だろうとその程度のスピードしか出ないものに対処するのはそう難しいものではない。しかも威力のために回転をつけた分、弾くのはたやすい。
しかし、式守が余裕を崩す様子はない。理由はおそらく現在の位置関係だろう。俺の後ろにはメエがいる。これは俺が回避できないことを示している。回避ができない、しかも飛び道具を使う相手に対して、というのは意外と不利になる。
すべてに反応する場合、武器を使って防ぐので、すぐに攻撃体勢を取れない。さらに、近づくほどスピードが速い位置で受けるので防御が難しくなる。
さらに問題なのは攻撃だ。剣での攻撃は基本、剣を当てて後ろに抜ける。それは当然、かわされてもしかり。ゆえに回避されないように戦うしかなくなる。
「どんな戦場だろうと地形、状況、能力を気にせずに戦う人間はバカです。1対1の荒野、10万対1万の森。場所や状況で作戦は千差万別です。ゆえに私は飛び道具を使う。」
さて、どうしようか。……確実ではないが極力傷つかない方法となると、あれしかないか。