9、10月-50 たとえ何があっても
ついに9、10月だけで50話!そろそろ次月に移りたい今日この頃。
志木さんは軽く空を飛び、受け身を取れないまま地面に叩きつけられた。頭を軽く打ったみたいだが、あれくらいならどうってことはないだろ。
「うっ……」
「無理に動かないほうがいいですよ。眉間と顎、鳩尾を同時に突きました。かなり弱くしましたけど、脳震盪のせいで気分が悪いでしょ。」
本当の三点連突は鳩尾で呼吸困難にして、顎を打って脳震盪、最後に眉間を打ち抜いてぶっ飛ばす技だから、手を抜いてもそれなりにダメージは出るはずだけど。
「あ、あなたは……」
「やめろ。しゃべるのもつらいだろ。」
「……その、力、は……」
「やっぱりあなたは気付きますか。だから見せたくなかったんですよ。俺の本気は出すべきじゃないんですよ。出さなきゃ死ぬような状況か、そこに隠れているアホみたいなのを相手にするとき以外は。」
「さすがですね、副会長殿。」
そう言って出てきたのは3人ぐらいの男子生徒。トンファーなり金属バットなりの思い思いの武器を手にしている。
「残念ですよ、志木部長。あなたは期待に応えられなかった。」
「な……ぐっ!」
志木さんが無理して起き上がろうとしたが、気持ち悪かったのか止まった。
「心配しないでください。副会長は責任を持って倒しておいてあげますよ。何も話したくならないほどに。そして、志木部長は副会長をかばってやられた英雄になるんです。」
「な……」
志木さんはまた無理に動こうとして口元を押さえた。この様子だとまだ動けそうにない。しかし、普通なら1時間は動けないはずだからかなりの回復力だな。
「さて、いくら強い副会長でも風紀部3人を相手にできます……」
「黙れ。」
空気が完全に凍り付いた。音が鳴ることすら許されない空間。その空間の人間はただただ、そこにいる存在に恐怖するだけである。
「な、な、な……何を言ってるんだ?お、お前は完全に不利なんだぞ。わかってるのか?」
このままではやばいと感じたのか、流れを変えようと強きな態度を取ってくれたが、残念ながら逃げるべきだっただろう。
「そういえば説明しろって言ってましたよね、部費削減の理由。」
「え……」
「1つの理由はこんな奴らの存在。表向きは真面目でも、狙いは風紀部の予算だったりするからな。斑目先輩も狙ってたみたいだが、あの人の年では捕まえられなかったみたいですけどね。」
「な……」
「とりあえず3人確保。」
しかし、やっぱりこんなことを言ってしまったらいい顔をしないのは当たり前。完全に武器を構えて臨戦体勢に入った。
「こっちが有利だってことわかってんのか!?」
「俺らはそのへんのチンピラと違って、しっかりと戦闘練習してんだぞ!!」
もはやセリフがチンピラと同じだってことをわかっているのだろうか?
「では、学校の治安維持のための強制執行をさせてもらいます。」