9、10月−47 昨日の友達は今日の敵、そして明日はまた友達
「……か、愛佳!!」
「あっ!?あれ!?」
「どうしたのよ?心配したわよ。いきなり上の空だもの。」
私はなんであんなことを?
「本当に大丈夫なの?痛みは?病院行かなくて大丈夫?」
さっきまで敵だったはずの私を心から心配してくれる。やっぱりアスカちゃんだ。
「やっぱり優しいね。私は敵なのに。」
「そんなことは関係ない!!愛佳は私のクラスメイトで大切な友人!!それで十分でしょ!!」
やっぱり優しい。優しすぎる。
「でもね……」
でも言わないといけない。
「私は生徒会でいろいろなものをもらった。」
どんなに想いを打ち砕いてもいい。
「だから、私は思うの。」
どんな結果になっても言う。私の想いを。
「生徒会を信じたいって。」
「……」
「……」
アスカちゃんは暗い顔をしていた。しかし、何を感じているかわかる。悲しい、後悔、自責、そして、怒り。
「愛佳、いえ、長峰愛佳、生徒会書記。」
「よろしくお願いします。アスカちゃん、ううん、帳飛鳥、風紀部員。」
私たちは構えた。何の迷いもなく。
「はっ!」
「きゃっ!」
正拳突き。来るスピードや狙いなどがわかっていてもやっぱり怖い。
「はっ!はっ!はっ!!」
強い正拳突きがとんでくる。私は先読みをしてるから当たらないけど、普通の人はきっとすでにあてられて、気絶に決まっている。
「でも、当たらなければ……」
「甘い!」
「きゃっ!」
私は思わず尻餅をついてしまった。
「確かに愛佳なら私の動きを先読みできる。どのタイミングで避ければいいのかもわかる。でも、そのシビアなタイミングに愛佳自身の身体能力がついていけない!」
「……」
そう。私は戦える人間なんかじゃない。どんなにがんばっても、どんなにがんばっても結果なんて目に見えている。
「でもね、私はあきらめたくないの。あきらめたら……もう繋がっていられない。結局、私は逃げたから。」
「?何から?」
「いじめの主犯。」
「いじめ?」
「うん。昔いじめられた女の子。とても強くて、とても強く、他人を愛していた。だからちょっとだけ間違っちゃった女の子。」
「そんなのいたら私が倒してあげたわよ。」
何でなのかわからない。アスカちゃんのこれからの動きが完全にわかる。前まではこんなことはなかった。……たぶん生徒会に入ったからかな。
「でも、ごめん。今は助けてあげられない。」
「うん。」
アスカちゃんの動きがわかる。私はゆっくりと流すように構える。
「えっ!?」
そのまま投げ飛ばす。榊ちゃんから習った合気道。まだまだだけど、完全に動きを読める状態ならできる。
ダンッ!
「くっ!」
とっさに受身は取ってくれたらしいけど、やっぱりダメージは残っているらしい。
「……はぁ、無理だったか。」
「大丈夫。私は逃げないよ。」
「……まったく。」
私もそこに座り込んだ。
そして、ゼロに還る。