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開明高校生徒会録  作者: ヒッキー
9、10月
115/172

9、10月-45 悲しいからこそ人は想いを強くする

 そしてラブ……


 「えっと……ここ?」


 ここはうちのクラスの前。なんでこんなところなんだろう?


 「ゼロくんの言ってた場所はここだよね?」


 渡されたメモを確認してみる。


 『階段を2階降りて、右に曲がって渡り廊下を渡る。そして、次の角を右。(廊下は走らないように byメエ)』


 ……メエちゃんのメモは置いといて、ここで間違いないと思う。でも、ゼロくんはなんでこんな場所に?風紀部の要を抑えるって言ってたけど、私に戦えるわけないし……


 「愛佳!?」


 「え!?」


 後ろにいたのはクラスメイト、帳 飛鳥ちゃんだった。


 「なんでアスカちゃんがいるの!?」


 「私は……風紀部の仕事よ。誰か校内に残ってないか見回ってるの。」


 私はわかってしまった。わかりたくないのにわかってしまった。ゼロくんがメモを渡すときに小さい声で「ごめん。」って言ってた。ゼロくんは予想、ううん、わかってたんだ。だから私をここに行かせたんだ。


 「愛佳も早く体育館に……」


 「やめて、アスカちゃん。」


 私ははっきりと言った。


 「アスカちゃんだって、ここにいるんだからわかってないわけないよね。この状況が。」


 「愛佳……」


 アスカちゃんは不思議な表情をしていた。泣きそうでもあり凛々しくもある。後悔しているようでもあり、悔いがないようにも見える。ものすごい不安定な表情。


 「愛佳、どうしても、ダメなの?」


 「……」


 「愛佳がこんなところにいるなんておかしいのよ!とても優しくて、とても純粋で……とても弱い愛佳がいちゃいけない場所なの、ここは。」


 そんなことはわかっている。私もそう思う。


 「なのに愛佳はなんでここにいるの?生徒会役員だから?期待されてるから?それとも、好きな人に頼られたから?」

 

 「……」


 私は何も答えない。それでもアスカちゃんは話すのをやめない。


 「愛佳はわかってないんだよ!盲目になってるんだよ!好きな人に必要って言われたから舞い上がってるだけ!落ち着いて考えてよ!」


 「……」


 アスカちゃんどんどん必死な表情に変わってきている。私はどんな表情をしてるんだろうか。もしかしたら、ものすごく冷たい表情なのかもしれない。


 「私と一緒に来て。今ならまだ間に合うから。」


 「……ねえ、アスカちゃん。」


 私の顔を見てアスカちゃんが一瞬たじろいた。


 「なんでアスカちゃんはこんなことをしてるの?」


 「……」


 今度はアスカちゃんが黙る番になった。


 「……生徒会が嫌いだから?」


 「!!ち……」


 「違わないよ。絶対に。」


 「なんでそんなこと……」


 「……私は他人の思いがわかるから。」


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