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開明高校生徒会録  作者: ヒッキー
9、10月
113/172

9、10月-43 ハルさんの過去がついに明らかになる!!

 今回は会話がかなり少ないのでご注意ください。

 藤原(ふじわら) (はる)。藤原家の第一子、長女として誕生。それはいたって普通の女の子で、普通の子供として成長することを誰も、いや、彼女を知る人間は思った。


 しかし、それはあっさりと(くつが)された。


 藤原家の家主である藤原晴の父親は一流企業の役員という社会的に見てもなかなか高い地位を築いていた。だからこそ、そういう地位に自分の娘も立って欲しいという願望から、物心ついた我が娘に勉強を教えた。藤原晴はそんな中、算数を好んでやるようになっていた。


 そして、それはおかしいという域まで達した。


 1日の3分の1を睡眠に当てて、2分の1を算数に注ぎ込んだ。その結果、藤原晴は1年で高校数学を終え、小学校入学前にこの世のありとあらゆる数学に触れてしまった。


 その姿を父親は畏怖と喜びの感情抱き、母親は恐怖を感じた。


 そして、小学校入学前に数学オリンピックに日本代表として出場。満点で金メダルを受け取った。これは当時の数学会で有名なニュースになった。もちろん、多くの大学が飛び級での入学を打診したが、父親がより社会のことを知ってほしいということから拒否した。


 そして小学校に入学した。もっと素晴らしい人間に成長するだろう。また誰も、いや、彼女を知る人間は思った。


 しかし、それもあっさりと(くつが)された。


 小学校に入った藤原晴は友達を作った。そして、マンガや友達と遊ぶことを知った。そして、最低限の勉強以外はしないようになっていた。


 父親は混乱した。なんせ毎日、1日12時間も勉強をしていた娘がほとんど勉強をしなくなったからだ。ほとんど錯乱するように聞いた。「なぜ勉強をしないのか!?」と。それに対する藤原晴の回答は単純だった。


 「だって、それよりもおもしろいことを見つけたから。」


 藤原晴にとってはこの世のなにもかもがおもしろいものだった。ただ、その中からもっともおもしろいことを選択しただけ。それだけだった。


 1歳違いの妹はいたが、教育するにはすでに手遅れ。結果、父親は落胆から藤原晴を相手にしなくなり、母親もすぐには受け入れられなかった。






 「……幼女時代編、終了。」


 「……」


 「さてさて、ここまでで質問がある人!?」


 「……」


 ……あれあれ?なんか空気がより一層重くなってない?効果音にすると『どよ〜ん』って感じだよ。


 「……ごめんなさい。」


 姫ちゃんが頭を深々と下げて謝ってきた。


 「?なにが?」


 「私は藤原先輩はそんなひょうひょうとした性格で、大きな苦労なんかしてないと思ってました。」


 ああ、やっぱりそんなふうに聞こえちゃうんだ。


 「みんなね、勘違いしてるんだよ。私は何も不幸じゃない。」


 「え?」


 なんか反応が単調になってない?ま、いいんだけど。


 「私はすべてのことがおもしろい。そう思ってるんだ。そして、いままでの人生で私が選ばなかったことはない。いつも選択肢の中から一番おもしろいものを選んだ。選べた。決して選ばされてたわけでもないし、選択肢が1つしかなくて選べなかったわけでもない。だから私は不幸じゃない。むしろ、幸せだよ。」


 「……そうですか。」


 ちょっとだけ笑った気がする。私も姫ちゃんも。


 「だからハルちゃんは新しい選択肢のために戦う!楽しくて、おもしろくて、わくわくする選択肢のために!」

 

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