9、10月-35 猫は気分屋なのです
「えっ?」
目で追えないくらいの速さで桜田さんに手をはじかれた。そしてそこから裏拳。
「やばっ!」
マトリックスでかわして、そのままバク転で後ろに下がった。
「ど、どういうことだ?」
まさか目で追えない速さがあるとは思ってなかった。それにしてもあれは何だ?構えは猫の警戒状態そのものだし、しっぽみたいな物まで見える。しかし、後ろに見えるのは猫なんて生易しいものじゃない。あれは虎だ。猫科は猫科だが肉食のオーラだ。
「あれについて説明できる人は説明をお願いします!」
「えっと、たぶん鋼流拳法の猫の構えだと思います。」
「あれがか。」
乍乃さんの説明を聞いて思い出した。そういえば桜田さんはそういう拳法を使えたな。しかし、これを猫と形容したのは誰だ。間違いなくサーベルタイガーとかだろ。
「それにしても、あれを押さえ込んだのか、あっちの会長は。」
こんなの捉えきれる気がしない。しかし、当たり所が悪かったらケガになるし、逆に当たりが浅かったら俺の命の保証がされない。
「やっかいすぎてどうするべきか。」
まさか本気でやるわけにはいかないし、それでもこれは殺す勢いでいかないと相手にならないだろうし。
ビュン!!
……さっきよりは見えてるかもな。でも完璧に捉えるのは不可能か。それこそ人間の域を超えるぐらいしか手はないかも。
「ちっ!」
これで向こうの会長みたいにクリティカルしなくても相手を落ち着かせる方法……いや、クリティカルさせなくちゃいけなくても落ち着かせる方法があったらよかった。俺には……傷つける力しかない。
「高月さん、下がって下さい!!」
「え?」
後ろにいたのは志木さんと風紀部が5人。巡回をほとんど集めたにしては恐ろしく早く、恐ろしく的確だ。
「人数集めてきたな。」
「はい。」
「その人数でどうするつもりだ?」
「取り押さえます。」
「それは、無傷で可能なのか?」
「不可能です。」
「ダメ!」
メエが叫んだ。
「傷つけるなんてダメ!ちょっと調子が悪いだけなんだよ!」
「確かにそうかもしれません。しかし私たちは生徒会傘下の部活動でありながら、生徒会と同じ権限を与えられています。そして、私たちは生徒を守るためにあります。」
止まらない、か。
ヒュッ!!
「……」
「……え?」
それは一瞬だったかもしれない。桜田さんの頭から猫耳が外れていた。そして、俺の手にその猫耳。
「なる、ほど。取れる、のか。」
さすがにきつい。体がうまく動かない。でも、きつい顔もぎこちない動きもしちゃいけない。
「さて、これでいいだろ。」
桜田さんは倒れている。たぶん、もう大丈夫だろう。
「は、はい。」
「じゃあ俺は奥で休ませてもらうよ。」
ゆっくりと奥に入った。向こうでは桜田さんが目を覚ましただとか客をそろそろ入れないと、とか言っている。俺はそんな子守唄を聞きながら意識を闇に落とした。
これにてゲストたちの出演ターンは終了です。
ゼロ「もうちょっときれいにまとめろ!!」
ちなみに、あの後ゼロが起きたらすでに終了時間でメエやラブなどと一緒に帰ることとなりました。
ゼロ「ちなみに本音は?」
猫耳ネタが終わったからもういいかなって思って。
ゼロ「おい!!」
と言うわけで、ゲストの皆さんお疲れ様。そして水月五月雨さん、テイクさん、ありがとうございました!
え?出てないキャラ?……きっと来ていたんだよ。うん。きっと。