9、10月−34 ゼロのはたいてい正当防衛
ちょっとだけシリアスムード?
「……」
「……」
「……ちょ、ちょっと待て。なにゆえ俺?というか、それはなしだろ。」
「ふっふっふっ。」
……なんかいやな笑いが聞こえる。そして、ここから逃げたい気分になった。
「私がそんなことを考えていないと思ったか!?」
「考えていようとも忘れてくれ、ユリ。」
「それは無理だ!私はおもしろいことと派手なことは忘れるつもりはない!!」
「めんどくさいな!」
こいつのハイスペックも正しい方向に生かされることはないのか!?
「我は最初に言ったはずだ!!『このメンバーが入った最初の客になる権利。しかも、本当はない指名権つき』と。この指名権にこの4人のメンバーのみという文言は書かれていない!!」
「その法律の抜け道みたいな罠はやめないか?」
「私がやめても抜け道はなくならないよ。」
そろそろ普通の会話を警戒する日を抜け出したい。
そして、こんなムードの中で全然違う雰囲気を出している人間がいる。(桜田さんは無視すれば)それはラブだ。いつも、どんなときでもおとなしく優しいオーラをまとっているラブが今ははっきりとした敵意を感じるオーラを出している。
「メエちゃん……」
メエとラブだから拳で語り合うことにはならないだろうが……
「ラブ……」
すっ
「ちっ!」
俺は反射的に振り上げたラブの右腕をつかんだ。
「……」
「……」
流れるのは重い静寂。ラブは暴れることこそしないが、力は入ったままで俺が手を離した瞬間にそのままメエをはたきそうだ。
「……手を離して、ゼロ。」
「え?」
「いいんだよ。ボクははたかれるだけのことをした。」
それはラブにこの抜け道を教えなかったことか?俺にはそこまでのことをしたとは思わない。いやならラブが今から変えればいいはずだ。
「……」
「……」
しかし、そんなことではない何かがこの間にある。どちらも目をそらすことなくただまっすぐに相手を見つめている。
「にゃ。」
「……」
「……」
「……」
何か変な声が後ろから聞こえた気がするが気のせいだ。
「にゃー。」
「……桜田さん、この状況をどうにかしてくれようとするのはありがたいんですけど……」
そう言いながら後ろを向くと四足でしゃがみ、足で顔をかいてる桜田さんがいた。その姿はさながら猫のようだ。いや、猫そのものだ。
「えっと……?」
「……ネコさん?」
メエが近づいて首をかいてあげた。
「ゴロゴロ。」
「ネコだよ!」
「さっきの生徒会顧問を呼べ!!マジさん、どこにいるか調べて下さい!!」
「作者からの出演許可が降りない。」
「なんで発艦許可みたいなのがいるんですか!?強引でいいんで呼んで下さい!」
「ふははは……!こうなると思っていたぞ!」
「さっさとあれの止め方を教えて下さい!!」
「そんなことをしたら出番が終わるだろ。」
「桜田さんのせいで被害が出たらすべて先生に請求させてもらいます。」
「誰か1人が両耳に触ったら外れる。」
「わかりました。」
たぶん、これで本当に顧問はもう出てこないだろう。
「桜田さん……」
後ろから頭についている猫耳を触りにいく。
バシッ!
ヒッキーは猫耳だけじゃ飽き足らず、猫にしてしまった。
そして正直に言おう。
反省してない。ゆえに後悔もしてない。