小さな箱
「小さな箱」
小さな箱がありました。
ふたを開けると音が流れてきました。
聴いたことがないと解かっていながらも、どこかで聴いたことがあると感じさせるメロディーでした。
根源となるモノを一目見ようと奥を覗くと、何もありませんでした。
あるのは暗い闇だけ。
では音はどこからきているのか。そもそもこの箱に底はあるのか――?
好奇心に急かされ手を伸ばすと、あるはずの底はやはり、ありませんでした。
すぐそこにあるはずの底がないのです。
しかしそうしている間にも、音は流れ続けています。
不思議
その言葉だけが、心身を突き動かしていきます。
そっと手を引き、再び奥をみると、
先程と変わらない闇だけが広がっていました。
そろそろ飽きてきた頃、その闇に変化が訪れました。
光がみえたのです――。
1つだったその光は、2つ3つと増えていきます。
しだいにそれが、「星」だと、根拠もなく気づきました。
その光が増えるにつれて、目が輝いていくのを感じていました。
気付けば音が止んでいます。
しかしそれに気づくと同時に、たくさんあったはずの星たちが、続々と消え始めていました。
慌てて手を伸ばし、すくい取ろうとしましたが、何故かすり抜けていくのです。
逃げるように
星たちはあっという間に消えてしまい、再び闇が広がっていきました。
まるで闇が全てを飲み込んでしまったようでした。
目の輝きはすっかり失せてしまい、先程まで止んでいた音が耳に届いてきました。
懐しかったはずのメロディーは、悲しく、止まることなく永遠と響き続けました。
永遠と――




