心
スミカルナとアルティスは、光と闇の正反対の国であって南東と北西に別れている。我が国スミカルナは、南東に位置する。頭上には輝く太陽、清らかに流れている柔らかい水、風が緑多い大地を撫でるように吹いている。スミカルナには、多くの種族の民が住んでいる。
この国は、私が守らなければいけない。
たとえ、何かを犠牲にしても、、、、
前方には、アルティスの王 ルイが居る。ルイが引き連れている民も、、、
私達は、自然と緊張する。
「俺は、闇の国、アルティス国王。
今宵こそスミカルナを我が物に。」
「私は、光の国スミカルナ国王女。
光の国は、渡さない!私が守って見せる。」
「「皆のもの、行くぞ」」
ティーナとルイの一声で闘いが始まった。
互いの国の民がぶつかり合う。
闇の民は、光の民と剣を交えると剣を通して心を覗く事が出来る。そして心に直接語ることが出来る。
本来光が闇に負けることは無く、心がいつも輝いている光の民だが、心に直接語られる事により絶望と言う名の闇が襲う。
心を覗き相手の弱い隙を見つけ、そこに漬け込む 、、それが闇やり方。
光の民は、その絶望を振り払う事しか出来ない。
ティーナの心は清く、気高く、美しく、決して闇や絶望に負けることは、無い。
「ふっ、ティーナよ。お前の心は、本当に汚れを知らず一切の闇も無いな。」
互いに王と王女の関係である、ルイとティーナは、戦場の真ん中で剣を合わせていた。
「うるさい、、」
ザッとルイを押し返し斬りかかる。
間一髪で交わされる。
「さすがだな。心だけでなく剣術も迷いが無い。」
「心と一緒で、、、」
不気味な笑みをこぼすルイにティーナは、剣を突きつける。
「お口の前に手を動かせと教わらなかったのか?」
「さぁな。俺は、相手の最大の弱味を見つけ、そこに漬け込み絶望におちいり嘆き苦しんでいる処にとどめを刺すのが趣味なんでね。」
「ゲスが、、、」
「俺がゲスならお前は、なんだ?」
「何?」
明らかにルイの首には、ティーナの剣が突きつけてある。
どんな闇も消し去ってしまう王家の剣が。
どう見てもルイが不利だと言うのに彼は、余裕を物語る笑みを見せている。
「我々は、皆人間。人間ほどか弱い生物は、居ないと言うのに、、」
「何が言いたい、」
「スミカルナには、多くの種族が住んでいるだろ?妖精やエルフ、魔女その全ての生物が少なからず闇を持っている。心に迷いがある。」
ティーナの剣先が細かく震える。
ルイが一歩ティーナに近づく。ティーナは、後ずさってしまう。
「闇や迷いが無いお前は、何者なんだ」
「うるさい、、」
「お前は、ほんと、、」
「黙れ!!!」
バッと斬りかかったが剣で押さえられる。
「私は、人間だ!でも、皆をまとめる一国の王女、迷いなんて私にあってはならないのだ!」
交じり合う剣から心を覗かれているのが分かる。
迷いなんて、弱さなんてあってはいけない!!
「ふっ、、では王女様また会いましょう。」
ルイは、最後まで不適な笑顔を絶やさず私を押し返すと去ってしまった。
「皆のもの、撤退!」
「スミカルナの民よ引け!」
今宵の闘いは、幕を閉じた。
しかし私の中は、今もルイの言葉がグルグル回ってる。
「お前は、何者なんだ?」
この言葉が、、、