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第七章 第五話
「断る。」
ほう……。
「川原をみて、何も思いませぬか。」
川原の哀劇。いまだ、亡霊がでるという。
「ふん、思わぬな。」
顕光様は刀を抜いた。一矢はあくまで浪岡北畠の家臣。その御一門に刃を向けるのは避けたい。鞘に手を置くが、どうしても決断ができない。
外からは南部勢が空堀を乗り越えて、御所まであと少しのところまで来ている。
そのとき、顕光の後ろ側から老年の武者が現れた。
「穢れ仕事は私がやる。お前は下がってろ。」
顕光様は背の方を向く。少し身震いをしたようで、さすがに衰えたとはいえ相手は大物と渡り合った歴戦の勇者。ただし違う意識も働いたようで……もしこいつを倒せば、その上に行ける。顔からは笑みがこぼれている。
私の心は決まっている。一矢の忠告むなしく、これは未然に防げたこと。かつての過ちにこだわりすぎて、新たな災難を招いてしまった。償うべきは、この私だ。




