第六章 第四話
夜、真央君は眠りにつく。……さくらは私たちに知っているすべてを話した。
確かに真央君は義父を殺した。そうしたのは、義父が実父を殺したと知ったからだ。仇討ちをなしとげたのだ。
しかしどういうわけか、義父は大悪人であり、実父は義父の私利私欲がために殺されたことになっていた。事実と食い違う所がある。……誰かが嘘を教えたのか。
さくらは続けた。
「それに……実は、奥方は真央様が殺したその瞬間を……。」
小雨が延々と降る。少しぐらい強くなってもいいのに、強く降って消し去ってくれればいいのに。周りで聞いていた者は、憂鬱でしかない。
「申しわけない。」
新御所は謝った。心の底から。
「実はな……昨晩、奥方が亡くなられた。」
私も初めて聞いた。驚きはしたがやはりというか、とうとうというか……なるべくしてなった。新御所は続けた。
「奥方のことを思ってな……。ご子息だけでもまともに育ってほしい。そう考えた。
今は真央君にとって理解できなくても、理解したくなくても、後々に通じてくれれば。
幼い心にはとても厳しいだろうが、大切なことは何か気付いてほしいのだ。」
新御所……
そのとき、急使が大釈迦の館に到着した。油川湊からである。わざわざ夜中にやってくるのだから、そうとう大事なのだろう。
奥寺は、部屋からでて使者に応対をしたようだ。しばらくして、戻ってくると……青ざめている。
「船の件、取りやめになりました。」




