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第五章 第一話
私は真央と侍女のさくらに会った。奥寺が匿っていたのだ。機を見てよしみを通じる商船に乗せて、油川湊より逃してやる考えだったという。
古今東西このような子供が人殺しをするなど聞いたことがない。誰もが殺したなどと思わないし、果たして罰することが出来るのかどうか。
いつしか小雨だったものが、だんだんと強くなっていく。あたりは薄暗い。
幼君は黙って連れてこられる。真央君は言う。
「私は……父上の仇を討った。もう殺されても恨まない。」
心が決まっているようだった。何事にも揺るがぬ。奥寺は逃げろと言うが、逃げても仕方がない。今に、来るべき時がきたのだと。
私は問いかけた。
「本当に……いいのですか。」
真央君はうなずいた。




