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第三章 第五話
私と顕氏様と多田を加え、奥寺を部屋に案内したという侍女に改めて話を訊くことにした。
七日町の顕氏の屋敷に、月明かりが差し込む。時々光の加減が衰えるのだが、少しばかりに雲がでてきたようであった。外ではムクドリが巻き舌を立てるように鳴いている。
三人の尋常でない雰囲気に侍女は背中を丸め、今なにかと怖がっている様子だ。
私は鎌をかけてみることにした。
「すでに手だてがなく、困り果てている。我らは奥寺殿が殺したとは思いたくはない。なにより動機がない。だが、このままでは奥寺殿は罪人に。お前も共犯として締め出さねばなるまい。」
侍女はうつむきながら答えた。
「……何も知らないのです。」
私は懇願した。
「なあ……このままではお前を獄に繋ぎ、徹底的に調べなければならない。もしお前が果てたら、他の使用人や門番をも調べなければいけない。ここはお前の判断一つなのだ。」
…………
侍女は泣き崩れた。
「本当に……何も存じ上げませぬ。」