最後の喫煙者
自選ドタバタ傑作集① 最後の喫煙者 筒井康隆著
ステキなタイトルに魅せられて購入。
まず、タイトルにもなっている“最後の喫煙者”の話。
主人公の小説家が国家的な弾圧に屈せずタバコを吸いまくる話なんだけど、あまりに面白くてゲラゲラと笑いながら読んでしまった。読みながらラッキーストライクを吸ってたら副流煙を思いっきり吸い込んじゃって咳き込み、無様に嘔吐した。
まあ、そんくらい面白い短編だった。オチが個人的には最高でした。
あと、“老境のターザン”ね。
ターザン鬼畜すぎですわ。
怪鳥の悲鳴と豚の断末魔の混合物のような雄たけびで颯爽と登場したターザン。老眼用のコンタクトレンズを欲するターザン。乱交パーティを目撃して興奮するターザン。
なんかもう内容が、ね。
えげつない内容を、あれだけコミカルに書けるなんて本当に凄いと思うの。
もうターザンを直視できない。
“喪失の日”は下品すぎて笑えた。
24歳のエリート社員(童貞)が想い人とラヴなホテルへ行くことになってウハウハと妄想しまくる話。
主人公は普通を装いつつも変態。ものすごく変態。全裸で雪だるまに抱き付いて性欲を発散させたり、スイカを己のバナナで貫いたりした経験があるくらい変態。
ドン引きですよ。
「ぼーくのパンツはぴいかぴか」(本文より抜粋)
それにしても、まだ千字には四百文字くらい足りない……短編だからネタバレを恐れて書きづらい……
“問題外科”は確実に読む人間を選ぶ短編だろう。
端的に言えばエログロなんだけど、主人公二人がキ〇ガイ。というか、登場人物全員キチ〇イ。
湯気が立っているホカホカの盲腸を鷲掴みして大腸を丸ごと体外へ引っ張り出すとか、吐き気を催す描写がいっぱいですよ!
「東西。秋の銀杏は突風の舞い」じゃねえよ。なに必殺技っぽくグロイ事やってんだよ。なんてツッコミを入れたくなる作品。
絶対にこんな病院に入院したくない。
手術を控えた方は読んではいけません。
他にも人を選ぶ短編が満載な一冊だった。
基本的に読みたいヤツだけ読んで、無理そうなら読まない方がいい短編ばかり(褒め言葉)。