表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

閑話*とある(不憫な)悪魔の日記*

一話目に出てきた、悪魔さんのお話。

〇月△日(月の日)

日記帳を上司であるアルリード様にもらった。

理由は知らないが、顔のやたらいい我らが宰相閣下への贈り物(貢ぎ物)のひとつだろう。厳つい顔の私が持っているにはアンバランスなファンシーな柄である。しかし、これは良い機会だ。

私も日記を自分でつけてみようと思う。



〇月▽日(火の日)

日記をつけはじめて二日め。

今日は、アルリード様に押し付けられた、魔王陛下の捺印済み書類の回収作業に追われ、ろくに休憩も取れなかった。アルリード様は、陛下が執務をサボるのを知っていて、私に書類回収を押し付けているのだと思う。あれは激務なので、ぜひ陛下の親友であるアルリード様自ら回収に行ってほしいと思う。



〇月◇日(水の日)

日記をつけはじめて三日め。三日坊主にならぬよう、明日も忘れずつけたいと思う。

今日は陛下がどこかに消えたため、アルリード様に泣きついたのだが、すげなくあしらわれてしまった。私はそんなにゴツいか?

アリエル殿に言いつけてやろうと思う。



〇月◆日(木の日)

今日は暗黒の森に侵入者がいるとの報告を、下からうけた。魔物の可能性があるために、下級魔族には近寄らないよう指示しておいた。明日、陛下にも報告しないといけないのだが、彼のお方はこの報告を聞けばすぐにでも視察に行ってしまうだろう。

溜まりにたまった書類を見れば、憂鬱で仕方がない………。



〇月▲日(金の日)

やはり私の予想は当たったようで、陛下はすぐに視察にむかわれてしまった。

そこで、思いがけない方にであったようで、陛下は人間の女性を連れ帰ってこられた。

陛下の帰りを聞きつけ、いい歳して泣きながら陛下にすがり付いたのだが、我々が魔族だと知らなかったらしいマリカ嬢は硬直していた。

だが、怖がりはせずこんな私にも話しかけてくれた。感動だ。一瞬、マリカ嬢の瞳が絶望に染まった気がしたが、私の気のせいだろう。



〇月▼日(土の日)

今日は朝から驚くべきことが起こった。

陛下が執務を黙々とこなされていたのだ。昨晩はマリカ嬢に添い寝をされたというし、彼女の存在が陛下を変えているのだとすれば、喜ばしい限りだ。



〇月□日(太陽の日)

今日は同期のマリウスに会いにいった。

試作品の味見を頼まれ、新作のスイーツを堪能していたら、マリカ嬢がひょっこり現れた。

彼女も甘いものが好きらしく、勧めると嬉しそうに食べていた。

それでいて、的確に問題点を指摘したり、感想を言ってくれるのでマリウスも喜んでいた。



〇月■日(月の日)

今日は陛下でなく、アルリード様がどこかに消えてしまった。と思ったら、陛下もいなかった………増える書類と格闘していたら、ひょっこり戻ってこられたのだが、宰相閣下も陛下もいないとなると地獄だった。

最近、白髪が増えているような気がする。悲しい。




**********


「なんだ、これは………」

「ん?どうしたの、ジーク」


一冊のやたらファンシーな日記帳らしきものを手に取ったジークは、ペラペラとページを何枚かめくると眉間にシワをよせた。

誰の日記だ、これは。

茉莉花もむずかしい顔をするジークをいぶかしみ、よってくる。


「いや、なんでもない。アルリード!ルノーをよんでこい、今すぐに」

「はいよー、陛下」


しかし、茉莉花にはそれを見せずにジークは、アルリードに配下のルノーをよばせに向かわせた。



「ルノー、さんって………初めてみた魔族らしい魔族な悪魔さん?厨房で一緒にスイーツ食べた」

「そうなるな……………」





そんな会話が繰り広げられている同時刻………

某 捻れた角と漆黒の尻尾と羽の悪魔・ルノーはたまらない書類に歓喜の涙を流しつつ、平和を噛み締めているのだった。これが嵐の前の静けさだったということを、後に彼は嫌と言うほどに知る。



因みに───────茉莉花となぜか仲が良いルノーへの魔王陛下の嫉妬が日記を見て膨れ上がったために、ルノーはジークにイロイロと被害を受けたのだが、それは彼と茉莉花の精神衛生上、知らない方がよいだろう。



初めての日記風の形式でした~。

ちょっと短いですね。

ルノーは苦労人。このあとジークさんにさんざん嫌み言われて、半泣きに…………

それでいいの!?おっさん!!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ