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閑話*とある魔女の叫び*

毎回毎回、完結済みにしながら投稿します。

茉莉花ちゃんを追い出したお姉さんのなかの一人、魔女さんのお話。

ダークな内容となっておりますので、ご注意下さい~

────最初はほんの、出来心だったわ。



魔王が再び降臨し魔物が暴れはじめたのは、ちょうど三年前くらいだったわ。

その当時から私は魔女で、よく魔物狩りにも参加してきたの。だから、その危険性や魔物の残虐さはよく知っているつもりよ。

だからこそ、だからこそ勇者様が召喚された時には声に出せないくらい喜んだし、勇者様のパーティにも志願したの。

なのになのに……………なぜ、貴女なんかがここにいるの?

勇者様の召喚に巻き込まれたという少女は、ごくごく平凡で、大切に大切に守られて育ったのがわかる子だッたわ。勇者様とお揃いの黒目黒髪に、対になっているように並べばしっくりくる濃紺の洋服。

彼女は、勇者様の幼馴染みだと言ったわ。

平凡で、とりわけ美人でも力があるわけでもない少女が。

嫉妬しないわけないじゃない?

それでなくても勇者様は麗しい、美貌の持ち主だったし、その強さや耀きに惹かれたこともあるんだけれど……………一目みたときから、惹かれていたの。恋に落ちてしまったのだから。

だからね、ほんの少しの出来心で彼女を追い出したの。ろくなものも持たせずにね。あわよくば、死を願って。

勇者様にふさわしいのは貴女ではないわ。

勇者様を支えられるのは、当然のようにそばにいられるのは、美しく、賢く、稀代の魔女と唱われるこの私。

間違っても豆狸に似た、幼馴染みだというだけの貴女ではないはずなのよ。

勿論、脳筋なだけの暑苦しい女剣士や頭が軽すぎる派手な王女でも、他の誰でもないわ。勇者様にふさわしいのはこの私なの。

ずっとずっと、私が隣で支え続けるの。

だから、こうなるなんて思いもよらなかったわ。





「茉莉花を……………俺の幼馴染みをどこにやった、バカ女」

「ッな!?いきなりなんなの、レオ様!!私はあんな豆狸なんか知らないわ」

「とぼけるな、茉莉花は勝手には消えない。おおかたあんたらが追い出したんだろう?まったく、俺がわからないとでも?ッハ、なめられたもんだよな?はいになっとくか?バカ女。あと茉莉花は豆狸なんかじゃない」


いつになく荒々しく、普段の柔和で穏やかな雰囲気も優しい言葉遣いさえも抜け落ちた勇者様を前に、私は固まったわ。

あの少女と話しているときには楽しそうで、罵られったって嬉しそうで、砕けた口調で、笑み崩れていたのに、なぜなの!?

私があの少女に劣っていることなんて、なに一つないのに!!


「なぜ、」

「はぁ?」

「なぜ、あの子を探すの!?なぜ、あの子なの!?あんな豆狸、貴方にはふさわしくなんてないわ!!!ふさわしいのは、美しくて賢くて、魔法だって使えるこの私よ!?なぜ、あの子の心配なんてするの?!バカなのはあの子、マリカじゃないのよッッ!!!」


なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで


「黙れよ」

「ッ?!!」

「お前なんかと俺の幼馴染みを比べるなよ、バカ女。なにが美しくて賢くて魔法が使える、だ。どこのナルシストだよ。頭大丈夫か?バカなのはお前だろう?俺にふさわしい女性は俺自身が決める。少なくともお前じゃない。茉莉花の居場所を言え。それとも、無理やり吐かせてやろうか?ご自慢の顔崩されたくなければさっさと言えよ」

「…………………………………………暗黒の森よ。魔物がうじゃうじゃいるね。フフフ、勇者様でさえ気配の感じられない、魔の森。生きているのかさえ怪しいわねぇ………?丸腰同然で放り込んだもの。フフフ、ふはははははは、貴方には私だけ私にも貴方だけ!!あんな豆狸なんかいらないわ!!!」


そう、レオ様にふさわしいのはこの私なのだから。

邪魔するもの何で、必要ないのよ。


「ッ、だから探せなかったのか??!!チッ、言ってることが無茶苦茶。狂ってる。これが世に言うヤンデレってやつ??まぁ、この世界からは茉莉花の気配は消えてないからまだ、茉莉花は生きてる」


それなのに愛剣を背負い、必死の形相で出て行く勇者様を見送りながら、私は笑った。



──────ねぇ、どうして?

───私のほうが、あの子よりも秀でているのに。

───私のほうが、あの子よりも貴方を愛しているのに。



「なんで?」






答えは見つからないまま。


勇者様は二重人格(多重かもしれない…)茉莉花ちゃんの前では一応猫かぶって乱暴な言葉遣いとかしません。代わりになにか別の扉開いてますが………汗

ぬるーい変人・変態設定なんです、レオ君は。

魔女さんの名前が出てこないという不思議……魔女さんは、アンバーといいます。どこまでも清々しいほどに自己中心的な、勇者様大好きな魔女。

ちょっぴり狂ってるという……………

それはさておき、

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!

これから数話は閑話が入る予定です。

これからもよろしくお願いします~!



瑠璃華


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