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6話(0825改稿)

俺はまたもや信じられない光景を目の当たりにする事となった。


そこには悲鳴を上げて滅びる悪魔


「ぎゃあああああ!!!」




「うっ嘘だろ…」


「こんなにあっさりと…」


俺とゴードンは呆然と呟き、マリア達は唖然としている。


よりによって魔王ルシファーが一撃死するとは…。


「ワハハハハ!!!我に掛かればこんなものよ!!!」


魔王の笑い声だけ玉座の間に響いていた。






あれから俺達は準備をして、翌日テレポートと言うか転移魔法が使える魔王と一緒に石火帝国の魔王城、それも玉座の間へと一瞬で移動した。



そして魔王ルシファーは美少女魔王に一撃で滅ぼされたと言う訳だ。


確か


「きっ貴様は魔王ルミエ…」



が辞世の句だったか。哀れ魔王ルシファー。







ルシファーに仕えていた魔族達はルシファーを倒した魔王に跪いて従順の意を示している。




「私は魔王ルシファーの側近だったノーライフキングのネクロスと申します。ルミエル陛下の石火帝国魔王即位、歓迎致します。」


「うむ」


満足そうな表情をして頷く魔王。



魔族は一部を除いて力の強い存在に従う習性があると事前に魔王から聞いていたが、こんなにあっさり行くとは思わなかった…何故こんなにあっさり…。


「なに、前魔王はあまりにも横暴過ぎて我々も困っていたのです。」


疑問の表情を見たネクロスがわざわざ俺に説明してくれた。



「なるほど…」


「つきましては、最初に魔界への転移門を破壊する事を進言します。」


「「「「「魔界への転移門だって?」」」」



「転移門がここにあるのか!!!」



「城の地下にあります。私の知る限り魔界への転移門はここだけです」



「成る程、道理で見つからなかった訳だ。我々も魔界の関与を疑って転移門を探していたのだ」


魔王だけ納得した表情をしていた。



「魔界って…悪魔が住んでいる世界ですか?」


マリアが聞く。


「そうです。ルシファーは魔界から来て石火帝国を占領、今も魔界から増援が来ますが、今でしたら魔界にもルシファーの死は気付かれていないでしょう。」

なるほど、石火帝国は魔界の前哨基地だったのか。




「よし、では我は念の為ここに居る事にする。お前達は魔界への転移門を破壊して来てくれ。案内は、ネクロス」



「はっ!!!」


「城内への通達は魔界への情報漏洩防止の為お前達が帰って来てからにする」


「分かりました、では行きましょう」


俺達はネクロスのテレポートで地下へ移動する。



「あれで御座います。」


その部屋は不思議な事に誰も居なかった。



部屋の真ん中に門があり、周囲には各地へ抜けると思われる転移魔法陣があった。


転移魔法陣に関しては後で利用出来るかもしれないので、俺は神剣ローレライを抜き


門に斬り掛かった。


「せいっ!!!」


パキッ


バキバキバキバキ



忽ち光を失う。



「これで大丈夫でしょう。念の為転移魔法陣に細工をして向こうから使えないようにして置きます。」


細工が終わってから俺達は玉座の間に戻って魔王に報告する



「魔王、壊して来たぞ。」


「良くやってくれた。直ちに各方面へ我がルシファーを討ち滅ぼした旨と戦闘停止、占領地域からの撤退と降伏を通知しろ」



「分かりました。直ちに!!!」


ネクロスは細かい命令を出して部下のダークエルフ達が命令に嬉々として従うのが見える。



そんな光景を眺めつつ魔王はマジックアイテムを使い演説を始めた。


「我はグリンデンバルド王国の魔王ルミエルである、魔王ルシファーは我が討ち滅ぼした。我に従え。我はルシファーと違い服従すれば命までは取らん。我に服従せよ」



すぐに城の各方面から代表者が来たりと戦後処理が始まるのだった。





魔王ルシファーの死は石火帝国の各方面軍に伝えられ忽ち恐慌状態に陥り、各部隊は物資を置いたまま潰走した。


膨大な数の軍勢が降伏し、石火帝国の名前は歴史から消滅する事となる。



すぐに魔族領側の各国が進駐軍を派遣し、落ち着いた所で分捕った物資の配分と割譲地域を決める会議が行われ、話し合い自体は難航したが魔族領の各国が間に立ち配分の監視をして割譲地域の運営に協力する形で話が纏まる。




そして一仕事終えた俺は石火帝国の魔王城から逃げようと隠密のスキルを使い城内を歩いていた。



俺はまだ二十歳はたちにもなっていない。確かに今の時代の婚期を考えると遅いかもしれないが、人生の墓場に行ってたまるか!!!。




「どこに行くの?」



思わずビクッと身体を震わせる。


いつの間にか後ろにサラが立っていた。

何故気配を感じなかったんだ…。


「逃げちゃ駄目」



そう言ったサラは俺の右腕に抱き付いて来た。



ローブの下から控えめな柔らかい感触がする。


「私達の事、嫌い?」


うっ上目遣いは卑怯だぞ!!!凄まじい罪悪感に苛まれる。


暫く悶絶したが、やっとの事で言葉を絞り出す。

「嫌いじゃない、俺はただ結婚して若くして勇者の先輩方みたいに人生の墓場へ行きたくないだけだよ」



真面目に聞いていたサラはクスリと笑って身体を放し、言った。



「やっと本心言ってくれた。他の子達はどう思っているの?」


俺は正直に答えた。


「みんな好きだよ、でもまだ人生の墓場へは行きたくないかな。」



言い終えた瞬間、サラはポケットからマジックアイテムを出した。



「こっこれは…」



見覚えのある物だった。


「魔王の部下が使っていた通信用のマジックアイテム、全て魔王達に筒抜け。」



俺は青くなった。



全部聞かれていたと言う事か…。



サラは笑い出した。


「ウフフ、逃げられない。諦めが肝心」









俺は全力疾走した。







だが無駄だった。



「遅かったな勇者よ!!!」






城門に魔王が立っていた。



凄く嬉しそうな表情で。




その時、頭に音声が響いた気がした。









魔王からはにげられない






「嫌だ!!!俺はまだ結婚してたまるか!!!絶対に諦めないぞ!!!」








バチバチバチ



背中に電流が走る


「ぐはっ」



油断していた俺は一発で意識を失うが、掠れゆく意識の中サラの笑い声が聞こえたのは気のせいだろうか。






次に意識が目覚めた時、俺はタキシードを着て身体を縄で縛られた状態で地面に転がっていた。



軽やかな音楽に人々の話し声



どうやらパーティー会場のようだ。



着飾った沢山の人達がテーブルに盛られた食べ物を食べながら談笑していた。


魔族も沢山混じっているのには驚いた。普通に骸骨が婦人と会話している様はシュールに見える。


だが…何やら様子がおかしい。



良く見ると巨大なウェディングケーキに 俺と魔王、マリア、サラ、ルカの名前が書いてある。



どうやら完全に嵌められたようだ。逃げようともがくが無駄だった。



足音が近付いて来るので見ると、ゴードンだった。



「シリウス、目が覚めたか。諦めろ、もう逃げられないぞ。」



ゴードンはニヤニヤ笑っている。



最早これまでか…



覚悟を決めると人々が道を空け、魔王達が歩いて来るのが見えた。



魔王は真っ黒なゴスロリ風ウェディングドレスに翼と尻尾が良く似合っていて破壊力抜群。


マリア、サラ、ルカは豪華な白いウェディングドレスを着ていたが、とにかく全員この世の物とは思えない美しさだった。


「うふふ、どうだ、勇者よ?」




「みんな綺麗だ。」


俺は目のやり場に困りつつ、そう言うしか無かった。




結局俺は身体の縄を結婚式が終わるまで解いて貰えず、父親を含めた家族や故郷の友人にゲラゲラ笑われるのだった。







その後魔王に捕まって結婚させられた勇者と言う不名誉な見聞が大陸中に広まり、行く先々で子供にまで言われるようになるのだが、勘弁して欲しい。

申し訳御座いません、数時間遅れました。



話はまだまだ続きますのでこれからも宜しくお願いします。


0623

矛盾点、サラとのやり取りのあたりを時間差で二カ所修正、後半部分も修正しました。



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