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5話

城から戻った俺だが、逃げ出さないようにと女の子達の監視が付いた。


国からの監視だったらまだ良い、機嫌を損ねたりもしないだろう。





だが…魔王を含めた例の4人は違う。



来客用の部屋で俺は笑顔のルカに観察されながら溜め息を吐いた。


ちなみにマリアとリサは魔王に連れられて練兵場へ行き秘密の特訓をすると言っていたが、嫌な予感しかしない。



後で城の兵隊か騎士を捕まえて聞こう、俺の精神衛生上の為にも。


婚約の件だが俺は魔王ルシファーを倒すまで待ってくれと頼み猶予を貰った。そう簡単に独身生活を手放してたまるか。




「俺の顔を観察して楽しい?。」


暇潰しのつもりでルカに聞いた



普段だったら


「ばっ馬鹿!!!そんな訳無いだろ!!!」


とかわたわた慌てて真っ赤な顔で言うのだが…


「ああ、楽しいぞ♪」


と返されて赤面する。




ルカも言ってから赤面した。



暫くお互いを意識してしまい気まずい沈黙が続く。



考えてみたらルカとはもう長い付き合いで家も隣同士。俺の父とルカの父上も同じ男爵で仲が良く毎晩のように2人で酒を飲んでいた。


俺とルカも小さい頃から一緒に遊んでいたな。


だが俺が先代の勇者、キース様に素質を見込まれて学校を飛び級で卒業し勇者一行へ入る。


同時にルカも学校を飛び級で卒業。王都を守備する近衛騎士団に入った。

その後は大変だった。


様々な戦場や危険な魔境を駆け巡った。


キース様や一行の先輩方に様々な技や技術を教わりながらだったが、何度も死にかけた。



だが三年で世界最強になるまで鍛えられ、先代勇者と先輩方は引退。


それで俺が勇者を襲名してルカや学校の友人で世界最強クラスだったマリアとサラに声を掛け、父の紹介でゴードンと知り合い今に至る訳だ。


本来なら魔王を倒して独身生活を謳歌し、30歳ぐらいで結婚するつもりだった。


だが、全てはあの魔王に負けた、いや…魔王に遭ってしまった時点で変わってしまった。


多分俺が魔王に勝っても滅ぼせず同じ結末に至ったに違いない。


幸い婚約は魔王ルシファーを倒すまで先送り出来る。各国が魔境内部に突入する為の兵員と補給物資を含めた陣容を整えるまであと2ヶ月は掛かる。



それで魔王を倒してからは逃げてしまえば良い、俺はそう考えていた。





暫く平和な日々が続いた。





常に可愛い監視が付いたり練兵場でゴードンと拳で語り合ったりしたが、概ね平和な日々だった。










数日後、いきなりこの城の主であるグランシア王国国王に呼び出され謁見の間へと赴いた。


各国の王が揃って席に座り談笑しているのを見て驚くが、人間にも山奥で暮らし滅多に出て来ない種族と知られているエルフとか存在自体伝説となっているダークエルフに、こちらも滅多に姿を見せないドワーフまで混じっていてさらに驚いた。


だが見覚えの無い金髪の若い男を見て首を傾げる。凄まじい魔力を感じるのでもしや…。



魔王が笑いながら言った。


「勇者よ、早く座れ。」


俺は考えるのを中断し、注目した全員に一礼してから魔王の示した席へと座る。



「今から作戦会議だ、ようやく準備が整ったぞ。」










うっ嘘だろ?、こんな短期間にどうやって準備を整えたんだ?。








そうか、魔王の配下が動いたのか




納得した所で魔王がダークエルフを示して口を開く


「最初に紹介する、まずはそこにいるダークエルフの国王は我が王国の隣国、ハイネマイト王国のミュラー殿だ。」


「宜しくお願いします、勇者殿。」



「こちらこそ宜しくお願いします」



固く握手する。


「こちらのエルフは魔族領の中でも一番影響力があるエルフ族の族長で、エルサリオン殿だ」


「宜しくお願いします、人族の勇者殿」


「こちらこそ宜しくお願いします。」


固く握手を交わす、エルフと握手した事がある限り無く少ない人間になれた事を嬉しく思った。


「こちらは魔族領にあるドワーフ地下王国の王、ヴィトゥル殿だ。」


「宜しく頼むぜ勇者の兄ちゃん」


ガシッと強い握手を交わす。



その次に魔王がしめしたのが金髪碧眼の美男子で、例の膨大な魔力を感じる男だった。

笑顔で、懐かしむような顔で俺を見ている。


「こちらは龍人族の国、彩龍王国国王のケスラー殿だ。」


龍人族か!!!初代勇者の仲間にいたと言われる…伝説の種族だ。


実体はドラゴンで、普段人間に変化しているから龍人族と言われていると初代勇者の冒険譚に書かれていた。


「勇者殿、宜しく頼みますよ。」


「こちらこそ宜しくお願いします」


紹介が終わると魔王が司会で会議が始まった。


「さて、今回集まって頂いた理由は言うまでも無いが、陣容が整ったからだ。各地点で作られ集積された武器と物資、兵員を我の配下がテレポートで前線に運んだ。」


「敵に気付かれずこれだけの戦力が揃ったのです、相手は下級から中級魔族と眷属、人族側にも我々魔族領の人員を配置して強化した以上負ける筈が無いですな。」


龍人族のケスラー殿が言った。


確かにそれが本当だったら負ける筈が無い。我々がルシファーに勝てればだが。




淫魔と言う元々弱い種族だった魔王があれだけ強かった訳だから俺にはとても楽観出来なかった。


一瞬変化した俺の表情を見た魔王が笑いながら言った。


「案ずるな勇者よ!!!、ルシファーなど我が滅ぼしてくれよう!!!」その後は魔族領側の作戦が開示され、人族側の詳細な作戦が話し合われた。


人族の軍隊が魔族領の森を突破するのは難しいので被害が出ない場所までの進軍に留める。


その代わり戦後魔族領側で石火帝国から分捕った物資を人族の各国へ割譲する案が話し合われ、各国の被害状況で割譲される割合が決まる事になった。


そして戦後魔族領側の街もいくつか人族側に割譲され巨大な転移魔法陣を設置して人と物資をやりとり出来るようにする形で話が決まり、詳細は作戦が終わって全て片付いた時に話し合う事となった。


作戦の決行は明日となり、人族と魔族領の全軍に通達された。





会議が終わった直後、エルフの村長とダークエルフ、龍人族、ドワーフの各王に、戦争が終わったら人族側に住んでいる筈の我が同胞を探す手伝いをしてくれないかと言われ、快諾したのを付け加えて置く。




その後各国首脳達とランチを食べたのだが、


「戦争が終わったら我は勇者と婚約するんだ」


と魔王が顔を赤くして笑いながら言ってちょっとした騒ぎになった。


「ガッハッハ!!!とうとう最強と名高い魔王ルミエル殿も恋をしましたか!!!それはめでたい事ですなあ!!!」


「魔王ルミエル殿と勇者殿、お似合いですな!!!」


「結婚する際は我が国で!!!」


とか


「人族と魔族が共生する素晴らしいモデルケースとなりましょう!!!」



…勇者は完全に外堀をうめられた。





俺は独身生活を諦めん!!!諦めんぞ!!!先代勇者のキース様や先輩方のように若くして人生の墓場へは絶対に行きたくない!!!行かないぞ!!!。



そう強く決意する俺だったが、そんな様子を見ていた魔王が獲物を見る目でニヤリと笑ったのに気付かなかったのだった。

御閲覧頂き有り難う御座います。


最近は登場人物紹介や世界観設定を各章の最後に作って追加などがあれば書くようにしようかと考えたりしております。

そろそろヤンデレ成分が欲しい。

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