表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

2話(改稿中)

今回は説明回になります

 夢を見た



 魔王の軍勢に国が滅ぼされ町や村が燃え、住民が皆殺しになっている地獄のような光景、考えてみれば、そんな光景を幾つ見たかもう忘れてしまったな…。






















 両手両足の痛みで目が覚める。



 目を開けて状況を確認し、痛い理由に納得した。



 最初に目に入ったのは、女性らしい豪華な装飾のカーテンが閉じられている光景だった、どうやら俺は両手両足を伸ばした状態で縛られ、豪華なカーテンの覆いが付いた大きなふかふかのベッドに転がされているようだ。


 手足を上に上げようとすると途中で腕と足が何かに引っかかる、見ると腕と足を縛る紐がそれぞれ少し長めの縄が二股に結ばれベッドの足に繋がれていた。手足を縛る紐を含め力で引き千切ろうとするも、無駄だった。紐から強力な魔力を感じるので、アーティファクト級のマジックアイテムだろう、びくともしない。試しに全力で魔力を加えたら、魔力が吸い取られ駄目だった。



 監禁に放置プレイか、随分とマニアックな事をするな。そんなふざけた事を考えた俺だったが、今になって甘い女の匂いがするのに気づいた。まさか魔王に御持ち帰りされて美味しく頂かれたのか?、いやいやいや、そんなはずは無いと俺は慌て首をブンブン振りつつ恐る恐る自分の服装を見て確認するが、幸い魔王と戦った時のままで鎧を外された形跡は無い。安心して思わず溜め息を吐くが、すぐに安心出来ない今の状況を身体で感じて思い出し、また意気消沈する。


 どう考えたって今の状況は不味い、不味すぎる。このままでは魔王に美味しく頂かれたあげく、無理矢理結婚させられ人生の墓場へまっしぐらだが、俺は嫌だ!何としてでもここから一度脱出し体勢を立て直したい所だった。


 そして陽動を引き受けてくれた仲間達の事を考える。みんな生きているだろうか?、せめてもう少し作戦を考えるべきだったと反省し後悔したが、後悔してばかりいても仕方が無い。何をするにもこのふざけた拘束から抜け出さねばならない、何か方法は無いか?。


 考えながら俺は部屋の外を見れないかと背中側の様子を見るべくぞもぞと身体を動かす。幸い反対側にあったカーテンは開けられており、外の様子が見える。大きな間取りの部屋の中にベットがあるようで、何故か部屋の中に何故か大きな鉄格子で仕切られている場所が見えた。



 そしてそこには俺の仲間達がいた。



 暫くして神官のマリアが意識の戻った俺に気付く。



「シリウス!気が付いた?」


「意識が戻って本当に安心したぜ!」


「心配したんだからね馬鹿!」


「本当に、良かった。」


 俺の仲間達、最初のマリアを含めて剣士のゴードン、幼なじみの女騎士ルカ、魔術師のサラが嬉しそうな表情で一斉に俺へ駆け寄ろうとしたが鉄格子に阻まれる。



 俺は苦笑しながら答えた。



「みんなありがとう…済まない、魔王を倒せなかった。」



 俺は皆と別れてから何があったかを素直に話した。













「「「「魔王に求婚されたぁ~???」」」



「おいおい、冗談だろう…」



 それが冗談じゃないんですよ。冗談であって欲しい。



「本当…なの?」



 サラに聞かれ、真っ直ぐ瞳を見て答えた。



「ああ…」



「呆れた、魔王にまで惚れられて(これからどうしよう、このままだとシリウスを取られちゃう」


「(早急に対策を考えなきゃ)」


「(シリウスが変な道に行く前に何とかしなきゃ。)」



 みんなどうしたんだ?、何故か女性陣の顔が暗い。



 3人を見て首を傾げると「なっ、何でもない!!!」「そうよ、何でも無い。」「シリウスのばか!!!」と三通りに答えつつ真っ赤になってそっぽを向いた、一体どうしたんだろう。



 ゴードンを見ると呆れて溜め息をついた。



「はぁ~、ったくこの鈍感野郎!本当にお前と言う奴は……」



 俺には何の事がさっぱり分からなかった。何の事だろうと考えていると、部屋の中に覚えのある強烈な気配が出現し、ソプラノの笑い声が響いた。



「フハハハハハ、目が覚めたようだな勇者!!!」



 噂をすれば何とやら、件の魔王だった。



「魔王!!!」



 俺は思わず叫ぶが、そんな魔王は俺を見てニヤリと笑う。



「俺達をここから出せ!!!」



 とゴードンが叫ぶが、魔王は意外な事を口走った。



「出してやってもいいぞ」



「「「「「えっ?」」」」



 今出しても良いと聞こえたが…。



「そもそも我はお前達を客人としてもてなすつもりだが。」



「そう言って油断させた隙に殺すつもりね!!!」



 とマリアが叫ぶが、魔王は俺を見ながら溜め息をついて言った。



「油断も何も、それ以前の問題であるぞ、のう勇者よ。」



「うぐっ」



 魔王はいきなり俺に話を振る、そしてそれに反応してしまい落ち込む俺の様子を見た仲間達は勢いを削がれ黙ってしまった。魔王は勝ち誇った表情で、実に楽しそうだった、



「そっそれに…………」


 だが、急に魔王のようすがおかしくなる。魔王は恥ずかしそうな顔をしたまま悶絶していた。


「それに?」


 俺は思わず聞いてしまった。魔王は真っ赤になりながらもじもじと恥ずかしそうに身体をくねらせ暫く悶絶してから叫んだ。

 


「我の好きな勇者と仲間を殺せるか!そんな事するぐらいなら魔王なんか辞めてやる!」



 叫び終えると俯いたまま「はっ恥ずかしい……こっこれが恋なのか?」とか言いつつ身体をくねらせ赤面しつつ悶絶する。俺達は完全に毒気を抜かれてしまった。



「少なくとも我はお前達に命を狙われるような覚えは無いし恨みも無い。我の配下は一度だって人間を襲った事は無いからな。」



「冗談だろう?」



 ゴードンの言いたい言はよく分かる。



 魔王の軍勢が国を滅ぼし、壊滅した町や村は数知れず、沢山の罪の無い人々が犠牲になった、それで俺達が勇者になった訳だ。元凶である筈の魔王が、自分と配下は何もしていない、などと。



「そんな訳あるかぁ!!!俺達は確かにお前の下僕の軍勢に町や村が滅ぼされ軍団が壊滅したのを見たぞ!!!」



 魔王は言った。


「それは別の魔王の軍勢であろう。」



「「「「別の魔王の軍勢?」」」」



 俺達はオウム返しに聞いた。



「そうだ。お前達は知らぬようだが、我の他に魔王が4人居る。同盟を結んでいる魔王もいれば敵対している魔王もいる。」



「そんな事信じられるか!!!」



 ゴードンが叫ぶ、彼の家族は魔王軍の襲撃により殺された過去があるので叫びたくもなるのも分かる。


「ならば逆に聞こう、我は魔王の1人であるが、淫魔族の長でもある。我らは主に人間を含めたオスの精気を糧にして生きる種族だ、特に美味な精気を出す人間を故意に減らすのは自分の首を絞める事と同義、先に待っているのは一族の衰退だ!!!。貴様は我が自らの一族を滅ぼさんとする愚物であると、そう言うのだな!!!」



 ゴードンは魔王の怒りに気圧されて何も言えなくなってしまった。もし言う事が本当なら、魔王は何もしていないと言う事になる。



「魔王、仮にそれが本当だとしても、俺達は国、いや、人類の総意を受けて送り出された。証拠が無ければ信じられない。」



 そう言って俺は魔王を見た。



「ふむ、勇者の言う事はもっともだな、勇者シリウスよ、各魔王の軍勢は識別の為に鎧や武器などの装備を統一している。どんな装備だったか覚えているか?」



 暫く考えてから答えた



「確か赤だった…まさか…」



 そう、ここに来て俺、いや俺達は大切な事に気付いた。魔王城の周辺で気付かれないよう隠れてやり過ごしたゴブリンやコボルト、オークなどの兵が着ていた鎧が青く装備品も違ったことに。



 そもそも俺達はこの魔王城がある地域を魔境、または魔の領域と呼んでいる。魔王の軍勢が侵攻してくる人類未到の空白地域として今は知られているが、今回は魔王の軍勢が来る境界線から直接魔境へ入るのは危険だと考え、迂回しつつ安全な所を探しながら回り込み魔境内部へと入った経緯があるので、魔王が複数いたとしたら無関係の魔王の領地に入り込んだ可能性も大いに有り得た。



「そう言う事だ。赤い鎧は上級悪魔の魔王、ルシファーの軍勢だ。我と他の三魔王の敵でもある。現在我が配下の軍団は近衛と留守隊を除きルシファー領に面する国境地帯へ出陣している。」



「その、それが事実だったら…済まない。 」



「なに、積極的に人間領の情報を集めていなかった我にも非がある、気にする必要は無い」



まだ完全に信用した訳では無いが、謝らずにはいられなかった、人違い、いや魔王違いをしたあげくに俺の仲間が城を守っていた配下の魔物を沢山倒してしまった訳だ。



魔王は淡々とした様子で答える


「いや、まずは事態を確認する必要があるな。



お前達の国や国民くにたみも納得出来る証拠を示し、我とお前達の戦う理由を無くそう。まずはそれからだ」




そう言って何か呟くと、鉄格子が消えて俺の拘束が消えた。



「さて、まずは人間の領土に行くか。全員立って我の近くに来るが良い」



俺達は言われるがまま立って警戒しながらも魔王の近くに行くといきなり暗転



次の瞬間には見覚えのある場所にいた。



「こっここは…」




「おっ王都…」

そう、俺達は歓呼の声に送られて旅立った王都グランシアの広場にいた。


「てっ転移魔法」


「むっ無詠唱で」


転移魔法は我々にとっては伝説の魔法で使える人間などいない。


ましてやそれを難易度の高い詠唱無しでや

ってのける魔王


勝てる訳が無い。


恐らく何らかの魔法で誰かの心にある情景でも見てここへ来てしまったのだろう。



俺達は思わず顔を見合わせた。



その頃になって周囲にいた人々が気付き、尻尾と翼の生えた魔王を見て悲鳴を上げる。



「あそこが城か。では参るぞ。」


魔王の視線の先には王の居城、グランシア城があった。




涼しい顔で悲鳴を聞き流した魔王に、


これはどう足掻いても勝てないな


と俺達は呆れるしか無かった。




また暗転



今度は城へ飛ばされたようだ。



王族やら国の重鎮や貴族、騎士達が沢山立っているのが見える。


俺達に気付いたのか驚愕する声が聞こえ、騎士達が慌てて駆け付け一斉に剣を抜く。



「何者だ!!!」


国王の叫び声


王の間は忽ち混乱の巷と化す。


どうやら今度は


グランシア城で国王を始めとした重鎮達が集まる「玉座の間」に飛ばされたようだった。



騎士達に剣を向けられて楽しそうに笑う魔王



これから一体どうなるのか俺達には想像出来なかった。

御閲覧誠に有り難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ