1話(26.05.18修正)
「ふはははは、良く来た、勇者よ!!!。」
そう言って高笑いするそいつ。
そいつは人類の敵、魔王だった。
ここは魔王城の玉座の間
俺の名前はシリウス、フォーラス。
いわゆる勇者だ。
この魔王を倒す為仲間と修行して、ようやくここまで来た。仲間は陽動として敵の注意を引き付ける為、城の入り口で派手に戦っている 。
その隙に俺は監視の緩い城壁の隙間にナイフを差し込んでよじ登り、隠密系の技術を使い入り込んで無傷でここに辿り着き、魔王と遭遇した訳だ。しかし魔王は何故俺をうっとりとした表情で俺を見ている?…凄く嫌な予感がするのは気のせいか?。
「なるほど、我が配下と戦わずに来たか、大したものだ。顔も悪くない、むしろ我の好みだ」
そう美しいソプラノの声で言う可愛い姿の魔王が恍惚とした表情で熱い視線をぶつけて来る。視線を浴びるだけで思考が蕩けそうになりクラクラするが、必死に踏みとどまる。実はこの魔王、凄まじい美少女だ。見た瞬間に淫魔だと分かったが…これ程とは…。
勇者の状態異常無効化特性をも無視する、強烈な魅了の魔法も相俟って、露出度高めの形が良いボディラインを強調した漆黒の禍々しい鎧を着ているので目のやり場に困り、見ているだけで自制心を保つのが辛い。ましてやこれから命を懸けた戦闘をするのだから生殖本能が刺激され…アレが元気になって、変な衝動に身体が動かされそうになるのを必死に我慢している状態だから、非常に不味い。
人間と違う点はコウモリのような羽と悪魔のような尻尾が生えている点だが、それは決してマイナス要素では無く、むしろそれにより小悪魔のような魅力が付加されてしまい破壊力抜群だった。
「魔王!!!勝負だ!!!」
我慢の限界が近付いた俺は身体に身体強化の魔法を施して魔王に斬り掛かった。
ガキィン
凄まじい速さで抜刀された漆黒の大剣に防がれる。
「フフフ、流石は勇者なだけある、活きが良い。」
俺は鍔迫り合いになる前に後ろへ飛んで距離を取って構え、再度斬り掛かりつつ合間に無詠唱で左手からファイヤーボールを放った。ファイヤーボールは鎧で無効化され、俺の剣は防がれたのでそのままガキンガキンと激しい音を上げて激しい剣劇の応酬になる。折を見てアイスボールやサンダーアローなど初級魔法を牽制で放ち隙が出来るのを狙うが、避けられたり鎧で無効化され全く効果が無かった。ここまでは予想の範囲内だ。ちなみに俺は中級魔法まで使えるが、詠唱の長さの問題が解決出来ていないので今回は使わないつもりだ。
俺は早々に攻撃魔法を諦め、剣に火炎魔法を付加して斬り掛かる。
ガキィンガキィンガキィン
激しく剣戟の応酬になった。
常人には見えない速さの剣戟をぶつけ合い、激しく鉄と鉄がぶつかり合い火花が散る。
俺と魔王は一時間程激しく打ち合った、剣術だけだと同じぐらいの腕で勝負にならないようだ。疲れたのでそろそろ一区切りしようと後ろに飛び退き、構える。魔王は俺を無理に追おうとしなかった。だが疲労した様子が全く無かったのには愕然とした、むしろ良い運動をしたぞと言わんばかりの様子だった。
参ったな、どうやって戦えば勝てるんだよ。
俺は若干息切れしながら
「淫魔なのに大したものだ。」
素直に賞賛する言葉を言った。
「フハハハハハ!、我は確かに淫魔だが、剣術は大好きでな。剣術が大好きなオスを剣術で破りプライドをズタズタにした状態で屈服させられるから我は大好きだ!。」
恍惚とした表情で言いながら俺を見る魔王。
ってまさかそれだけの理由でここまで剣を極めたのかよ!!!
理不尽だ、理不尽過ぎる。
これでも俺は、人類最強の魔法剣士と言われている男だ。その俺と剣術だけで考えれば互角、いや、基礎体力で俺は負けているのだから規格外だ。
これはまずいな、このままだと負ける。
仮に魔王とこのまま剣術勝負をしても基礎体力で負けるだろうし、膨大な魔力を感じるので魔法の撃ち合いなんて論外だ。かと言って俺の仲間が来る様子も無い。
八方塞がりじゃないか。
と聖剣を構えながら悩んでいる時だった
不意に魔王が
「勇者よ、名前を聞こうか?」
と、うっとりとした表情で目に期待を含ませながら俺に聞く。
「俺はシリウス、フォーラスだ。」
答えてからハッとする。
魔王に名前教えてどうするんだ。ニヤニヤと笑いながらしてやったりと表情を浮かべる魔王。何故か負けた気分がして悔しい。
「シリウス、フォーラスか。良い名前だ。」
恍惚としながら笑顔でそうのたまった魔王。だが…さらにとんでも無い爆弾を投下した。
「のう、シリウスよ、我のつがいにならないか?。」
はい?今何と言った?。
「え?何だって?」
思わず聞き直す。
「我の夫に、伴侶にならぬか?」
聞き違いでは無かったのか…思わず剣を落としそうになる。
「じょっ…冗談だろ…ぅ?。」
魔王の縋るような目を見てしまい口すぼみになる。
「冗談なものか。我は本気だ、お前が欲しい。」
たちまち頭がパニックになる。
「こっ断る…俺はお前を倒して…故郷に凱旋するんだ!!!」
辛うじてそう言った俺だったが、魅了攻撃で思考を保つのも限界だった。
刹那、笑顔のまま魔王の姿がかき消えた。
「ならば力ずくで我の物にしてやる。」
後ろから声が聞こえ、振り向く前に抱き付かれた。ムニュッと柔らかい二つの丘が背中に当たり、振り払おうと混乱している間に口で口を塞がれる。俺は抵抗しようと足掻いたが、舌と唾液に混じって強烈な魅了の魔法に変化した魔力が入って来る。
俺は思わずビクンと身体を振るわせたが…直後激しい快楽に襲われてだんだん意識が遠くなる。
意識が掠れ行く中「我の胸の中で眠るが良い」と言う、魔王の心地よい声と楽しそうな笑い声が聞こえた気がした。ああ、俺はここで終わりか、そう思って意識を失った。
こんにちは、若輩者ではありますが初めてファンタジー系の小説を投稿します。
他の作品と微妙にかぶったりしている部分があった場合は申し訳御座いません、ですが完全なオリジナルです。
酷い場合は連絡して下さい、訂正致します。
時々おかしいと思った部分を直していますが、話の内容に変化はありません。