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人間の男たちがハッとしたように振り返り、ぼろぼろになった女をすれ違い様に見つめた。


衣はみすぼらしく、美しいはずの麦藁色の髪はもう何日も櫛を通していない様に硬くて、その白い頬を生気を失い泥にまみれていた。


まるで地獄から逃げてきた異様な外見を差し引いても、男たちは何かを感じて立ち止まるのだが、判然としない。


遺伝子に刻まれた太古の記憶が、その女を好色だと認めたのか、それとも陰惨な悪魔としてとらえたのか。


女は虚ろな瞳を彷徨わせ、あちこち痛む身体を引きずりながら、それでも逃げるように前に進んだ。


涙はとっくに枯れたのに、この胸巣食う悲しみは増して行くばかりだ。


そして女は力尽き、倒れた。


カラスが翼を拡げたような漆黒な空にぽっかりと浮かぶ白い月を見つめながら、女は目を閉じた。



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