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聖女の祈り

 ファイアプラチナドラゴンの圧倒的パワーの前に絶対絶命のジャンヌ達。

 比部は、最後の手段として自らの命を犠牲にして、竜を消そうとするが……



 「……まて、比部!」


 「ジャンヌ、気にせんで良いよ。お前たちが助かれば……」



 私は、比部の巫女装束の裾を握った。



 「そういう意味じゃない。まだ、皆生き残る可能性は残されている」


 「ん……何か秘策でもあるんきゃ!?」


 「まあ、大した策じゃないさ」



 私は、比部が刀を下したのを見届けると、彼女の前に立つ。

 そして、膝をつき、両手を胸のところで合わせた。



 「ジャンヌ、お前……」後ろから比部の声が聞こえる。


 「見ての通りだ、祈るんだよ」


 「祈る!? ここに来て神頼みか!?」


 「ああ……とにかく見ていてくれ」



 人が出来うる、単純にして最大の奥義。それが「祈り」だ。

 かつてフランスにいたころ、ピンチに巡り合ったときに、私はこの「祈り」という奥義を何度も用いた。知恵では何ともならない事も、祈りと言う感覚的神秘的手段は可能性を常に示す。実際、神は何度もその祈りを聞き届け、奇跡、逆転、勝利をもたらしてくれた。神がいることが前提であれば、この「祈り」と言うものは天文学的数値の僅かな可能性に頼るものではなく、実に有効な手段なのである。



 確かに神は隠されてしまったとジルは言っていた。

 しかし、私は試みる。大いなる神や天使ガブリエル様達ではない、祭壇に眠る「<神剣>フラガラック」に対して直接、祈り語りかけるのだ!



 私は、目をつむる。精神を統一する。

 そして、感覚をフラガラックがあるだろう方向に向けて。昔やったように声なき声を放つ。




 大いなる剣「フラガラック」よ、かつて共に生きた同志よ……

 そこにいるのなら、私の祈りを聞き届けてほしい……


 どうか、あなたの力をもう一度貸していただきたい……

 この、どうしようもない危機的状況を打破できるのはあなたしかいない……

 隠された神に関する答えを導いてくれるのもあなたの他にはいないでしょう……


 だから、今一度、私のもとにその大いなる力をお与えください……

 どうか私に、そのお姿をお見せください……


 どうか我が手に……



 私は、言葉を終えても、目を開けることはしなかった。集中が切れれば、交信が途絶えるかもしれないからだ。目の前を覆う暗闇は続いく。しかし、私はあきらめない。答えがない事などは考えない。信じて、じっと、ただ、信じて祈り続ける! すると……



 「――――――はあ、しょうがないわね!」



 急に何者かの声が私の心に響く。そして、次の瞬間目の前が真っ白になった。

 私は、そこで目を開ける。光はゆっくりと弱くなっていった。



 「まあ、昔の仲だし、来てあげたけど~」


 

 目の前から話しかけてくるものは、見たことのある剣だった。

 間違いない、そこに刺さっていたのは、あの「フラガラック」だ!

 










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