聖神剣フラガラック
ジャンヌがジル=ド=レイに頼まれた仕事は、神剣「フラガラック」の捜索だった……
フラガラックとは一体どんな剣なのか?
「何だと? それは、かつて私の携えていた家宝の剣ではないか!?」
「その通りですジャンヌ様。そして、どうやらその剣が長い時を経てこの日本に流れてきたようなのです」
「ふむ……確かにネットなどで調べてみたことはあるが、あの情報が正しくければとんでもない代物だな」
フラガラック。
ケルト神話に伝わりし光の神、ルーの持っていたとされる神剣で、「回答者」「報復者」という意味を持ち、どんな鎧も貫き、どんな鎖も断ち切ると言われている。更に持ち主の言葉や意志に応える力を持っていると言い、別名は「アンサラー」と言う。日本語では「応答丸」などとも訳されるようだ。ファンタジー系のゲームやアニメなどでも登場することがあるから、知っている人も多いだろう。
どういう流れなのかはわからないが、この剣は前世の故郷ドンレミ村に流れ着き、我がダルク家の家宝として家の天井に隠されていた。そして、私が神の声を聞きヴォークルールに向かう時に父のジャックから手渡され、それからは私の愛剣となり、多くの戦場で私と共に戦ったのだ。このジャンヌダルクがフラガラックを手にしていたと言う話は歴史上にも残されていない。知る人ぞ知る事実なのだ。
「そうですね、ただあの情報は残念ながら正確ではないでしょう。フラガラックにはその他にも驚くべき力が隠されているようですしね」
「そうなのか。当時も聖剣扱いはされていたが、あれは私の功績によるところが大きかった。別段、特別な力を発揮する事もない少し切れ味のいい剣と言う感じだったんだがな」
「私も、フラガラックについてはっきりした事は言えません。ただメルテロ様のお話では、神を見つけるための鍵の一つになるとの事でした」
「なるほど、手に入れてみないと真相はわからないと言うわけか。つまり、私にそれを探せと言うのだな?」
「そうです。かつての持ち主であるジャンヌ様なら、何かしらの運命の繋がりがあるとも思いますしね」
「了解した。しかし、日本は広いぞ? まさか、全国行脚して探せとでも言うんじゃなかろうな」
「いえいえ、大丈夫です。フラガラックの在り処は今までの調査で大きく絞られていますからね。場所は大体分かっています」
「ほう……それは、何処なんだ?」
「ここです」
「この名古屋市大須のどこかに神剣フラガラックは隠されています」