ジャンヌの閃き
ドラゴンに変身した少年の圧倒的パワーの前に逃げ回るしかないジャンヌ達。
しかし、ジャンヌは何かを思いついたようだ。
「ジャンヌ様!?」
「まく朗! 良く逃げのびたな」
「どうして、こっちに来たんですか? まとまったら一気に丸焼きにされちゃいますよ?」
「いや、そうならない方法を、今から試してみる。……比部、私達の前に立ってくれ! あの竜を正面に置くように、だ」
「はあ? お主、ワシを盾にするつもりか!?」
「ああ、そうだ。私達はその陰に隠れる」
「ふうん、良くわからんが何か作があるようだにゃ。よし、んじゃあ言うとおりにするがや!」
比部は、言うとおりに刀の先を竜に向けて立つ。
私達は、その後ろに一列になるように立った。
「これでいいのか? ジャンヌ」比部はこちらを向かずに言う。
「それでいい、動かずに様子を見ていろ。奴が、どんな反応を見せるかを……」
私はそう答えて、比部の影から竜の様子を見た。
竜は、それまで頻繁に放っていたファイアブレスをピタリと止め、様子を見るように首を動かした。どうやら、私の判断は正しかったようだ。
「へえ……」竜が語り始める。
「良く気づいたね。流石は、戦を経験した事のあるジャンヌ=ダルクだ」
「さっき、自分でヒントを出してくれたじゃないか。比部は殺さないって。だから、比部を盾にすれば炎を放つ事は出来ないんじゃないかと思ったんだ」
「まあね」
「それに、今の行動で分かった……君は比部を<殺さないんじゃない>多分、何らかの理由があって<殺せない>んだ。そうだろ?」
「ふふふ」竜の表情は変わらないが、少年の笑う声が聞こえた。
「そうだよ。僕は織田家の契約があるからここに存在する事が出来るんだ。織田家契約は代々引き継がれるんだけど、それが途絶えてしまえば、その契約は破棄され、僕はここから消えてしまう。今の契約者はそこにいる比部になってるから、未婚である彼女がこの場で死んでしまえば契約は無くなってしまう。ジャンヌの言う通り、彼女を殺す事は出来ないんだ」
「!! そうなのか!?」比部は驚きを隠せない。
「今、あの竜が自分で言ったんだから間違いはないだろう。とにかく、これで炎の攻撃は防げるだろう……ここから、どうするかはまだ問題のままだがな」
「まず、近づかないと始まらないにゃ。こっちは接近戦しかできないからなー」
「じゃあ、ひとまずこの隊列のまま前進しよう」
私は、比部を先頭に、一直線になったまま竜との距離をゆっくりと詰めていく。
竜は、まだその場から動かずにこちらの様子をじっと窺っていた。それが、逆に不安をそそる。
「よし、この距離なら……」斎藤さんは、何かをするつもりだ。
「うぉー! 怪物めーこれでどうだぁ!」
ガシッ!
斎藤さんは竜に向って突撃し、その巨体を掴む。
竜とまともにぶつかり合うとは、まったくヘラクレスが如く勇敢な男だ。前世でもこんな人間が部下にいたら戦で大いに役だっただろう。竜は斎藤さんを振り払おうとするが、プロレスラーの力はバカにならないようで、なかなか引き離す事が出来ない!
「ここまで近づけば、炎は撃てまい! ……くら姉さん! 今だ、やっちまえ!」
「わかったがや! ワシの一太刀を受けるが良いっ!」
動きが止まっている竜に向かって、比部が駆ける。
そして、至近距離になると、大きくジャンプしてコンクリートすら切り裂いた刀を竜の首に見舞った!
グォォォォォォ
竜は深く思い咆哮を声を出す。




