異界の守護者
謎の世界<アウター大須>にたどり着き、遂に振我楽ことフラガラックの在り処へたどり着いたジャンヌ一行。そこにいたのは、覚えにくそうな名前の、守護神を名乗る少年だった。
「お主、まさか、今までずっと<振我楽>を守って来たということか?」と、比部が尋ねる。
「そうさ。僕を呼び出したのは、君の子孫である織田列宗。彼は、豊臣秀吉から<振我楽>を貰ってすぐにその力に気づき、その存在を危険視した。そして、古の秘術によりこの僕をこの世界に召喚し、契約を結んだのさ。自分の命と引き換えに、<振我楽>を、誰の手にも渡らぬように守ってくれ……と、言う約束でね。それからずっと、僕はここにいたんだ。歴史が移る代るのをフラガラックとともにゆっくりと眺めていたよ」
「ふむ……それで、この迷宮は全部おみゃーさんが作ったのか?」
「そうさ。僕の力なら造作もないことだったよ。……そういえば、気づいたかもしれないけど、ここは大須じゃないよ。入口付近以外は、すでに君たちの住んでる世界じゃないんだ。平行世界とか次元のはざまのようなものと考えてくれればいいよ」
「なるほど、それならだだっ広いのもうなずけるな! ……しかし、少し妙だな。ワシの一族に迷宮の管理を任せたのはなぜだ? さっき、ご先祖様は誰の手にも渡らせないようにしてほしいと言ったと聞いたぞ? 本当に見つからないようにするんだったら、お主が自分だけで管理すればよかろうに。まるで、誰かに見つけてくれと言っているように見えるがや」
「へぇ、君はなかなか頭が働くじゃないか。さすがは列宗の子孫と言ったところかな? ……そうだよ、見つかるような仕組みに敢えてしたんだ。なぜなら、<守護神>と言うのは守る状況が見込まれてこその存在なのだからね。守る必要が全く無いのならば、僕の存在意義を否定されるようなものなのさ。それに、History controllerの役割もあるしね」
「……わかったような、わからんような」比部は腕組みをする。
「まあ、そこまで気にしなくてもいいことだよ。君のご先祖様の判断は正しかったんだからさ。適当にどこかに埋めるよりも、僕に任せたのは遥かに確実で賢明な事なんだよ」
「そうなのか……とにかく、おみゃーさんはただの人間じゃないって事は大体よーくわかったよ。でも、その役目も終わるかもしれんな」
「そうだね。そこにいる彼女がその器なら――――とりあえず、まずは小手調べをさせてもらおうかな?」
「何をする気だ?」
「<守護者>の仕事も久しぶりだから、ウォーミングアップついでってところだよ……」
そう言うと、その<守護神>を名乗る少年は右手を天高く掲げた。
すると、彼の事情の空間がまるでフォトショップの画像加工みたいにグワッと歪み、その歪の中から幾つかの物体がにょきっと姿を現した! そしてそれらはふわふわとしばらく浮遊すると、私たちの前に、ゆっくりと降り立った。
「……これは!?」
その物体たちの正体は、迷宮の中にあった、ある意味ハイセンスなコンクリ像であった。
しかも、よりによって、特に著作権を侵害しそうな顔をした3体だ。




