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第二章外伝③:おばぁの思い出

 織田(おりた)比部(くらべ)は、FOX老人と楽しく談話していた。

 話題は次々と変わり……

  

 「しかし、クーちゃんも随分ベッピンさんになったもんじゃな。芸能人とかモデルにでもなれそうじゃ」


 「あはは、フミオさんはお世辞がうまいねぇ。まあ、自分でもそこそこ自信はあるけどな!」


 「ふぉふぉ」


 FOX老人は、のど飴の袋を破って口にぽいと入れる。

 そして、舐めることなくそれをガリガリと噛んでゴクリと飲み込んだ。


 「ホント、ヨリちゃんに似てきたのぉ。クーちゃんと話してると、まるで昔に戻ったみたいじゃよ」


 「確かに。写真見たことあるけど、今のワシにそっくりだったわ。死んだオトンにはあんまり似てないから多分、隔世遺伝やね」


 「そうじゃな……しかし、もう2年になるか」FOX老人は、障子の先の暗がりを見た。


 「ああ、早いもんで。やっぱ、おらんと寂しいね」


 「まったくじゃ。ワシはクーちゃんよりも付き合いが長かったからのぉ、ヨリちゃんが亡くなった日の日の夜は酒を飲まずにはおれんかったわい。大事な親友がどんどん先に言ってしまうのは悲しいのぉ」


 「親友か。それ以上になれなくて残念だったねー」


 「うむ……まことに残念じゃ。死んだ妻がいるが、やはり若い頃のヨリちゃんのほうがいい女じゃった。ワシが現世で一番心残りなのはヨリちゃんと付き合えなかったことじゃろうな」


 「でも、おばぁがフミオさんと結婚してたらワシは多分この世にはいないがや?」


 「ふぉふぉふぉ! 確かにな。……しかし、息子さん夫婦がバス事故が無くなってからは女手1つでクーちゃんを育ててきたんだからよー頑張ったと思うよ」


 「そうだね」比部(くらべ)はふーっと大きく息を出した。 

 「おばぁは、厳しくてけち臭くてインチキくさいところがあったけど凄く頼もしい人だったがや。おとーもおかーも殆ど覚えてないから、ワシの家族って言ったらおばぁしか浮ばん。運動会も、参観日もおばぁはちゃーんと来てくれた。色んな面白い話も聞かせてくれたし、面白いところに連れて行ってくれた。おばぁがいてくれたからワシは辛い思いをする事もほとんど無かったがや。今でも本当に感謝しとるよ!」

 

 「そうか。きっと、今のクーちゃんの言葉を聞いてヨリちゃんも天国で喜んでる事じゃろうな。クーちゃんが良い子に育ってくれたってな」


 「どうかな? おばぁの事だし、またアコギな商売の事でも考えてる気がするけど」


 「ふぉふぉふぉ、そうじゃな! ……ところで、クーちゃんは恋人とかいるのかの?」


 「いや、いないけど?」


 「そうか! じゃあワシにもまだチャンスがあるな!」


 「あはは~フミオさん、まだまだお盛んだねー」


 「そうとも。ワシは死ぬまで現役でいるつもりじゃ! 一生青春、来たれ3度目の春! ふぉふぉふぉ!」



 2人の会話は更にこの後も続いた。

 外は既に、夜の闇に包まれようとしていた。








次回から第3章です~

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