表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/63

わくわく★コスプレ天国

 アニメ、ゲーム、漫画の総合店「ギーサイト」にやってきたジャンヌ達。

 ジャンヌは、早速一冊の本を衝動買いし、10000円札を砕いてしまった。



 

 

 <まそだらけ>で買った袋に、今買った本はすっぽりと入った。

 こういうものは、他人に見られまいとリュックやカバンに入れるのがオタク男子の流儀だが、残念ながら私はそう言うものを持ち合わせていない。正確には、何だか見た目的に微妙になりそうだし、買おうと言う気が起こらないのだ。カバンを買うくらいなら私はゲームを買う……そういう女だ。


 階段をコツコツ登る。

 エレベーターもあったが、私もまだ若い。ここは運動すべきだろう。


 途中の壁には新作抱き枕カバーや新作情報が大量に張り巡らされていて、等身大のサカヅキトオル君のパネルがあった。マニアなら抱きつきたい一品だろう。


 「さー、いよいよですよ~県下最大級のコスプレショップ<COSPO>です!」

 

 「おお、また県下最大の4文字が出たか」


 さっきの同人誌探しで、少し疲れていた私の心は再び弾みだした。

 階段を登った先に見えた商品達に、胸が高鳴る。


 「前の方はキャラクターグッズとドールです。コスプレ衣装はその先ですよ~」


 「よし、まずは奥から見ようか」


 前方の商品達は後回しで、私達は衣装コーナーへと向かう。

 辿り着いた先は、初めて見る雰囲気の空間だ。そこらへんのデパートの服屋とは明らかに違う服やアクセサリー、化粧品が並ぶ。色鮮やかなニーソックスが揃っているし、カツラもあるし、模造の剣や刀等も目を引いた。こんな物に混じってフラガラックがあったり……などあるわけないか。しかし、こんな女性物の衣服や商品が多いと、男子がここに侵入するのはかなり勇気がいるだろうな。こうやって、何も気にすることなく此処を物色出来るのは女の特権と言えるだろう。しかも、逆に男性服ばかりの店に女性が入ってもそれほど奇異の目では見られないだろう。時代とは、随分と女性優位に変わったものだと思う一瞬だ。かつて百年戦争の頃は、女性蔑視が強かったし、私などコスプレどころか男装したという事だけで異端扱いだった。そう比べてみると良い時代になったと思う。


 「見てください、<魔法少女ミラクルえすた>の戦闘モードの衣装ですよ! ジャンヌ様に似合いそうだなー」


 「うわ……際どいな。スカートも無いに等しい短さだし……これを、私が着るのか!?」


 「いいと思いますよ! いまの服だってなかなか萌へだし~」


 「まあ、そうかもしれないが……ええと、それで値段は……」


 値札を見たら48000円と書いてあった。

 この前通販で買ったからわかっていたが、コスプレ衣装は非常に高い。

 人気商品は特にだ。さっきの諭吉さんが消えていなくても買うのは無理だろう。残念ながら見て楽しむので精一杯である。まく朗が次々と持ってくる良い衣装、時にネタっぽい衣装を見てそれを着た姿を思い浮かべ、私達は暫し妄想の花を咲かせた。


 にしても、やはりコスプレ衣装は良い。

 一般の洒落をかました服と違って、夢とロマンと刺激とそれ以上に何かがある。全世界で争いつづける兵士たちの気持ちは分かり得ぬとも、全世界のコスプレイヤーたちの気持ちは分かる気がした。

 

 「やー、目の保養になりますねぇ」


 「ああ、そういえば<まそだらけで>もコスプレ衣装売られてたな」


 「そうですね、向こうは中古品が殆どなんです。だから値段はここよりもずっと安いんですよ」


 「なるほど、今度は向こうも探してみよう。……さて、名残惜しいが、あまりここにいると他の人の邪魔になるだろうし、そろそろ行こうか?」


 「そうですね、ジャンヌ様。あとはグッズでも見て行きましょう」


 私達は、コスプレコーナーを離れグッズコーナーに移動しようとした。

 しかし、その途中に私達は見覚えのある人物がレジで会計をしているのを見かけて一旦立ち止まる。


 明らかに目立つ、<まそだらけ>にいた巫女姿の女性だった。

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ