プロローグ
国語力不足、意味不明な言い回し、訳のわからない世界観……いたらない点は山の様にありますが、少しでも皆様の心にとまればなぁ、とか思ってます。どうか終幕までおつきあいしてもらえたら、それに勝る喜びはございません。では、無駄に長い前書きを最後まで読んでくれた親切な皆様に感謝を込めて……。
―――切っ先は稲妻のように閃いて、まばゆい位に月光を浴びていた。
煌めいたそれが斬りつけるのは、人型をしたヒトではない別の何か。細身ではあるが確実に鉄の重みを持つその凶器は、軽やかに弧を描いて人外のソレへと吸い込まれていく。
弾けるのは血液。
月光は白く、赤い液体を照らしている。噴き出した血液は飛沫となって、辺りを朱く染め上げていた。
流れ出る液体は、人間である証明にも見える。
だが、ソレが振るう拳の速度は人間の規範を大きく凌駕していた。
人間の範疇を越えた、人間の形をした人間ではない異常。
―――では、その拳を躱す存在はいかなる異常か。
異常を越える異常は、振るわれた拳を躱すと同時にその懐へと踏み込んだ。
再びの斬撃。
ソレはよろめき後退したが、決して倒れる事はなく、自らを凌駕する異常な存在を見据えた。
人間を超える人外の存在と、人外を凌駕する人間。奇妙に矛盾したその光景は、見ている者にどのような印象を与えたのだろうか?
例えるなら猛獣の檻に放り込まれた人間が、本来ならば捕食されるべきであろう人間が、逆に猛獣を捕食する様だ。
二つの異常の闘争は、まさしくソレに当たる。
違うとすれば、お互いがヒトの形をしていて、お互いに言語を解し、お互いに意志疎通が可能だという点だろう。
意志疎通というもっとも平和的な解決法方を取らないのは、根本的な価値観の違いによるものに他ならない。
価値観……というよりはむしろ、お互いの目的が両極に位置している事が問題なのかもしれない。
ソレは少女を抹殺する為であり、少女を守る為である。
刺客として少女を襲う人外の存在。
少女を護る為に立ちふさがる人間。
同種である少女を殺す為に襲いかかる人外の存在。
人外である少女を護る為に剣を振るうただの人間。
矛盾だらけの闘争は、一夜の夢想のように闇へと溶けこんだ。
―――そして、閃光が走る。