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8 不可解な死

俺達は浩弥の元へと駆け寄った。

「おい、浩弥こんなとこで何していたんだ?」

佑斗が話し掛けていた。

「…」

浩弥は無言のままだ。

「どうしたんだ?浩弥、大丈夫か?」

続いて俺も、浩弥へ話し掛けてみる。

「…」

さっきと同じく、何の返答もない。

…俺と佑斗は、一度顔を向かい合わせた後、(うなず)き、そっと手を浩弥に触れてみた。


触れた瞬間、俺は勢いよく手を離した。

「どうしたんだ?玲駄」

「つ…冷たい、まるで、今まで冷凍されていたみたい…だ」

俺の言葉が信じられなかったのか、佑斗も浩弥の体に触れてみた。

体の状態を確認した佑斗は、やはり俺と同じようなリアクションをとる。

念のため、呼吸と脈拍の確認もしてみたが、やはり、どちらも停止していた。


……

死んでいたのだ。

この、短時間で浩弥は俺達とはぐれ…そして、死んでしまった。



…過去にも俺は、人の死に遭遇し、それがきっかけで映画にもハマッていった。


…しかし、今回は…


不可思議な異常現象に加えて不可解な親友の死。

そう、これは、映画や漫画のような創ったモノではない…現実だ。


(くっ!まだ、見つかっていない美冬の安否が気になる)

今一度、俺は状況の確認と美冬の無事を祈りながら佑斗と部屋を出ようとした時だった。


「ガラガラッ」と隣側の扉が開く音がした。

俺と佑斗は、音のした方へと振り向いた。

「玲駄、佑斗、今までどこにいたの?」

視界の先には美冬が立っていた。

「美冬!良かった、お前は無事だったんだな!」

佑斗が駆け寄っていく。

「無事って何のこと?」



……

俺達は、美冬に今までの出来事を説明した。


「…そ、そんな…浩弥…い…ぃやぁ…」

美冬は、その場にしゃがみ込んでしまった。


「とにかく、美冬とも合流出来たわけだし、外に出ようぜ」

「でも、外に出るっつっても…」

俺が、困ったように佑斗を見るが、

「全ての出入り口が凍ってるとは限らないだろ?俺が見てくるから、お前は美冬とここで待っていてくれ」

「あ…あぁ、分かった。気をつけてな」

俺が言うと佑斗は、教室を出ていった。




「美冬、大丈夫か?」

浩弥の前に、しゃがみ込む美冬の肩に俺は、そっと手をおいた。

「…玲駄」

月明かりの中、美冬は、その涙顔を、そっと覗かせてきた。

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