7 消えた二人
長い廊下の先にある正面玄関を目指しながら俺と佑斗は、必死に走っていた。
「おい、佑斗!玄関についたらどうするんだ?」
「一度、外に出て人を呼んでこよう!ただし、念のためにどちらか一人は学校の玄関で待機していた方がいいかもな」
荒い息を吐きながら佑斗はこたえた。
「よし、分かった!じゃあ、俺が待ってる!」
俺が言うと佑斗は すまない と一言かえしてきた。
ようやく玄関に到着し、佑斗が扉に手をかけようとした。
『待てっ!』
俺の言葉に驚き、佑斗が手を止める。
「何だ?」
…おかしい、さっきは走っていたから気づかなかったけど玄関の周辺の気温が、体育館と全く変化がないように思える。
携帯のライトを先程と同じように玄関の扉に照らしてみた。
…やっぱり。
先程の体育館の扉と同様、扉の全面が分厚い氷の壁で覆われていた。
「な…何だよ?…何なんだよ…こ、これ…さっき…来た、時は…な、何ともなって…なかった…の、に…」
この異常現象に佑斗はパニックを起こす寸前だった。
「この様子だと、はぐれた2人も外には出られていないはず…一階から順に探してみよう!」
少し休んで、佑斗を落ち着かせた後、俺達は、1年の教室へと向かった。
「ガラッ!」
1年の教室の扉を開け、俺達は中を見回した。
だが、そこには2人の姿はなかった。
「くそっ!どこに行ったんだ」
俺は、思わず言葉に出して言ってしまった。
「とにかく、次へ行ってみよう」
佑斗も、かなり焦っているようだ。
俺達は、扉を閉め次の部屋へ…向かおうとした。
(…ん?)
…俺は、突然、閉めた扉を再び開け教室の中を見渡してしまった。
「ビクッ!」として佑斗も足を止めてしまう。
「こ、今度は何だ?」
俺の不可解な行動に佑斗が尋ねてくる。
…
「わ、悪い…なんでもない」
「驚かせるなよ、先を急ぐぞ」
今度こそ、俺達は次の場所へと向かいだした。
…
……
(何だ?…さっき、あの教室の辺りから何かの気配みたいなのを感じたような…?)
1階の教室を全て探したが、結局2人とも見つからなかった。
2階へと続く階段を上り、一番手前にある教室に辿りつき扉を開けた。
中を見回している途中、佑斗が指をさしながら叫んだ。
「おい、あそこっ!」
佑斗の指の先に、壁に寄り掛かり座っている人影が見えた。
「…こ、浩弥じゃないかっ!」