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4 事件

俺は、足早で待ち合わせ場所へと急いでいた。

やっばり、通ると実感するが同じ道でも明るい時間帯と暗い時とじゃ、ぜんぜん違う。

まるで、別世界へと迷い込んだみたいな感覚に襲われる。

山手のほうだから尚更それが強固なものとなって感じとられた。

薄暗い街灯の先にようやくA駅が見えてきた。

だが、そこにいたのは、まだ美冬一人だけのようだ。

時間を調べると、まだ、待ち合わせ時間まで15分も残っている。

「早かったわね、玲駄」

「あぁ、美冬は何時からここに?」

「あまり、あなたと時間は変わらないわよ」

「そうか、残りの2人が来るまで、そこのベンチで待ってようぜ」

「うん」

俺達は、今朝、会って話をしていたベンチに座り込んだ。


「そういえば、最近この近辺で何人か行方不明者が出ているって知っていた?」

不意に美冬が話し出した。

「あぁ、ニュースでも何回か取り上げられていたよな」

「…ちょっと怖いわよね」

美冬の表情が、少し不安そうな顔色に変わっていた。

「何かあったら、みんなで美冬のことを守ってやるよ」

「…ありがとう」

さっきまでの不安そうな感じから打って変わって、今度は笑顔で、その顔が彩られていた。


(ヤベッ!やっぱ、かわいい)

そんなことを思いながら話しをしていたら、佑斗の姿が見えてきた。

「よう、お二人さん、早いじゃねぇの!」

笑いながら、佑斗が話しかけてきた。

「後は、浩弥だけかぁ」


「悪い、遅くなった!」

最後の浩弥も、ようやく合流した。

石原浩弥(せきはら こうや)】彼も佑斗や美冬と一緒で俺の親友の一人だ。

遊ぶとしたら大体メンバーは、この4人で決まっている。

駅から廃校までは歩いて約20〜30分程度といったところだ。

時間も8時を少し過ぎていたが、廃校につくと、ちょうどいいくらいの時刻になるだろう。

「よし、全員揃ったし、じゃ早速行こうぜ!」

佑斗が張り切りながら先陣をきった。


暗闇の中、街灯の光を頼りに歩くこと25分…目的地である廃校が視界にうっすらと入ってきた。

「到着したな」

俺は、闇の中、不気味にそびえ立つ巨大な建物を見上げながら言った。


…しかし、想像はしていたが実際、目の前で見てみると、暗闇に対する【恐れ】というのが直に伝わってくる。

何も起こらなければいいのだが…。

「入口はあそこだ」

佑斗が指をさしながら言った。

みんな各々の想いを抱きながら佑斗に続き正面玄関へと足を運んだ。



……

その時、とてつもなく冷たい、だがどこか生暖かい風が俺の横を吹き抜けていった。

(…ん?)

と同時に、昨日見た夢の映像が断片的にだが俺の脳裏をよぎった。


森の中、4人、巨大な建物…。


さっきの風といい、とても嫌な予感が心の奥底から沸き上がってきていた。


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