3 予兆
【ジリリリリ〜!】
部屋中に響き渡った目覚ましのアラームで、俺は目が覚めた。
「…何か…体が重いな」
頭が痛いし、体はダルいし、いつにも増して寝覚めが最悪だった。
「昨日、寝る前までは何ともなかったのに…」
だが、寝起きで働かない頭でも、昨日見た【夢】だけはハッキリと覚えていた。
…
……
そう、あの景色は、森の中だった…。
俺も、ふまえて4人いた…。
そして、途中から見える何かの巨大な建造物。
その中で…何、だった?…お…女?…着物姿の…。
夢の記憶が途中から徐々に薄れていく。
もうろうとする意識の中、俺はベッドから下り、朝食を済ませに向かった。
「今日の、8時に駅待ち合わせだったな」
中々、覚めない頭の中と体を起こすために俺は朝食後、軽く散歩に出かけた。
玄関の扉を開け、一歩外へ出てみると朝の爽やかで澄んだ空気が俺の体を満たしていく。
そのまま、今日集合予定のA駅まで行ってみることにした。
…駅についたが人気はない。片田舎の無人駅なので仕方ないと言えばそうなのだが。
駅に設置されている自動販売機で飲み物を買い、近くのベンチで一休憩入れた。
しばらく休んでいると
…【ビクッ】とするほどの、寒気と視線を感じ後ろを振り返ると、そこには美冬が立ち、こちらを見つめていた。
彼女の名前は【咲花美冬】俺の親友の一人で、今日の肝試しの参加メンバーでもある。
「美冬じゃないか!偶然だな こんなとこで何してるんだ?」
美冬は、「ハァハァ」と荒い息をあげ、少し息をきらしていたようにも見えた。
「…ハァ、やっと追いついた」
どうやら、案の定、俺のことを走って追いかけてきたらしい。
「さっき、近くのコンビニまで朝食の買い出しに出かけて来ていたんだけど、来る途中で、玲駄のことを見かけて、つい!」
…そんな理由で追いかけてきたのか?
「でも、朝食の買い出しって親が風邪でも引いて寝込んでいるのか?」
「ううん、違うの 私の両親は昨日から旅行でいなくて」
…そういうことか。
でも、つくづく思う。いつ見ても、美冬は美人で綺麗だよな…。
長い黒髪に、奥の深い瞳。この目で見つめられたら、どんな男でもイチコロなんだろぅなぁ…。実際に過去、何度も男に言い寄られた経験だってあるくらいだ。
…なんてことを思いながら、軽く談笑して美冬とは一旦別れた。
俺は、家に戻り…昼食を済ませ適当に時間までテレビをみて過ごした。
…
……
時間を見たら、もういつの間にか7時を過ぎているではないか。
「ヤバッ!」
軽く夕食を済ませ、待ち合わせ場所であるA駅へと向かった。