2 邦画と洋画
家についた俺は、借りていた映画を早速見出した。
「今回は、内容がかなりスゴいと佑斗の奴も言っていたな」
…
……
………
「なるほど、確かにこりゃ、あいつの言ってたことが分かるな」
グロテスクな表現が今まで観てきていた映画と一味違っていた。
だが、俺からすると内容がスゴければスゴいほど満足できるので今回の作品は見応えがあり、とても良かったと思う。
「でも、…まぁ、いくらスゴくても所詮は作ったまがい物…やっぱ、本物には敵わないな」
などと思い俺は、苦笑いしていた。
映画を見終わった俺は、時間を見るが、まだ、6時前だ。
「借りていたのも見終わったし、明日は休みだから返却ついでに何かいいモノでもないか見てくるか」
身支度をし、部屋を出ようとした時だった。
【プルルル〜】
携帯がなった。誰だろうと思い観てみたら佑斗からだった。
「もしもし?どうしたんだ?」
「よう、玲駄。俺だけど明日の夜って予定空いているか?」
「明日?いや、特に予定はないな」
「そっか!なら、もしよければだけど肝試しでもしないか?」
「肝試し?どこで?」
「A駅の裏の山に廃校があるの分かるだろ?」
「あぁ、あそこか」
A駅の裏口から出て、少し歩くと森林が見えてくるのだが、その入口に、もう何十年も前に閉鎖された中学校があった。
確かに、場所的に、あそこら辺は夜になると、かなり暗くなり雰囲気は出てくるかもしれない。
「分かった。それで時間は何時にするんだ?」
「夜の8時にA駅集合でどうだ?」
「8時にA駅だな?了解した。」
「それと、明日は美冬と浩弥も一緒だから、時間には遅れるなよ」
「分かった」
…まぁ、かるい暇潰し程度にはなるか。などと思いながら俺は、電話を切った。
そして、今度こそ映画を返しに店へと足を運んだ。
早々と、店についた俺は、借りていたモノを返却すると早速「次の作品」を探して回った。
洋画コーナーを一通り見て、棚から一本の作品を取ると、そのままレジへ向かった。
っとその時、邦画コーナーの棚の列も見えてきたので気のむくままに、いつの間にか俺はそこへと足が進んでいた。
「たまには、洋画ばかりじゃなくて邦画も見てみようかな?」
滅多に行くことのない邦画のホラーのコーナーに足を止め、じっくりと見てみた。
…
……
ふと、一つの作品に目が奪われた。
【雪女】
日本でも、有名な昔から語り継がれている妖怪である。
「吹雪の夜に、雪山に迷い込んだ男を凍死させてしまう、か…」
滅多に見に来ることのないコーナーへの好奇心からなのか、俺はその作品をケースから抜き取り、カウンターへと手渡していた。
借りた作品を手に再び自宅へと足を運ふ。
家につき、借りた映画を袋から取り出しプレイヤーで再生した。
最初に見たのは【雪女】だった。
…
……
………
スプラッターのような過激な感じはなかったが、正に【凍りつく恐怖】といった斬新な感じを覚えた。
「魂を吸い取って凍死させてしまうか…何か芸術的な殺し方だな」
過激な殺し方をする洋画が【動】だとすれば、美しく鮮やかな殺し方をする邦画が【静】みたいなものか。
同じ【殺】でも、ここまで違いのあるものなのかと感動すら覚えていた。
残りの一本も見終わり時間も深夜の12時近かったので、風呂に入り、ベッドへと潜り込み、そのまま深い眠りへと堕ちていった。