18 ゾンビ
美冬の僕部達は、佑斗を取り囲むと、腕、足、胸に喰らいかかった。
そのまま、力任せに佑斗の体を押し倒し、凍り付いている足首から下がちぎられてしまう。
その断面は、真っ赤な塊の中心に飛び出している足の骨が周りの肉と共に、切断されたもう片方の断面へと、まるで固定させたモノを無理矢理に剥がした時のような粘り気のある糸を引いている。
だが、ゾンビ共は、そんな断面には目もくれず、肉付きの豊富な部分を貪っていた。
両腕を、持ち前の怪力で完全に切断し、切り離した部分から徐々に肉を、その口へと運んでいく。
あらかた腕の肉を平らげたゾンビは、今度は、手の指を丁寧にも一本ずつ頬張り始めた。
指を丸ごと口の中に突っ込み、つけねの部分を歯で噛み切りそのまま、丸呑みにしている。
飲み込んでいる時に喉元が上から下へと上下に動くので佑斗の指が食道を伝っている様子が、うっすらとした明かりの中で見えてくる。
胸の方も、ゾンビ共が各々の両腕の指を中心部に突き刺し、こちらも力任せにこじ開けていた。
まずは、邪魔な肋骨を砕き、その後に、中に詰まっている、あらゆる臓器を手で、わしづかみにし【クチャクチャ】と音をたてながら喰らっている。
…もはや、頭以外は何が何だか分からない肉の塊とかしていた。
最後に残る頭は、眼球を指で抜き取り、【トロ~】っとした液体共々、口に入れ指同様に丸呑みにしている様子だった。
…
最後には、かろうじて残っている頭以外は、全て食い尽くされ骨のみが散乱していた。