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15 本能

外に佑斗を残し、俺は小屋の中に入り、携帯のライトを照らした。

隅から順に見ていき、視界に凶器として使えそうなモノが入り込んでくる。

草を刈るときなどに使うであろう、カマを見つけることができた。

その他にも、佑斗と同様に金属バットも手に入れた俺は、再び彼の元へと向かった。


外に飛び出た俺が目にしたモノは、先程の浩弥と同様に頭を滅多打ちにされて倒れている数体の人間の亡骸だった。

(佑斗の仕業か…やるな、あいつ)


…その死骸を目にした俺は、更に沸き上がる衝動に体を支配される。


前方に佑斗と、何体かのゾンビの姿を発見した。

俺は、そのゾンビへと向かって勢いよく走り出した。

『うおぉぉぉぉっー!』

そして、勢いそのままに、ゾンビの頭をバットで叩き割る。

『バギィッ!』

硬い頭蓋骨で覆われた頭を、渾身の力を込めて叩き割る瞬間…頭を砕く鈍い音とバットを伝い両手へと響き渡る振動が俺を、どんどん絶頂へと駆り立てる。

佑斗の方も、肉片と血のこびりついたバットを手に血相を変えて、辺りに屍の山を築き上げている。

(そうだ…相手は死体なんだ…グチャグチャにしてやる)


俺は、とどまることを知らない激情につき動かされ、本能のままに破壊と殺戮を繰り返した。

バットを手に…眼球を潰し、鼻を粉砕し、歯を砕き、脳を破壊する。

ゾンビ共の、返り血を浴びる度に興奮が体中を駆け巡り、震えが止まらない。


この異常な状況下で、ついに自尊心までもを木っ端みじんに砕いてしまった俺は、今や眼前に写る敵だけを滅殺する完全なる殺人鬼と化していた。



迫るゾンビを、片っ端から叩いていた佑斗も後方にまでは、目が回らないらしく、後ろに忍び寄る存在に気付いていないようだ。

俺は、直ぐに佑斗の元へと走り出す。

先程、入手したカマを取り出し、走りながら、カマを大きく顔の横へと振り上げた。

そのままゾンビに突っ込み、カマを水平に移動させる。

【ズブゥッ!】

カマがゾンビの首の動脈に食い込んだ。

そのまま、力任せに両手でカマを掴み、思い切り横へと()ぎ払った。

ゾンビの首は、パックリと横に裂け、中から大量の鮮血が溢れ出る。


【ドサッ!】

ゾンビが倒れる音で佑斗がこちらを振り向いた。

「後ろも注意した方がいいぞ」

「あぁ、悪い…助かった」

俺の忠告に佑斗は、頷き礼をかえしてきた。

目の前のゾンビは、あらかた片付けたらしく、死体と血液で血の海が出来上がっていた。

「よし、ゾンビも残り少ないし、このまま、一気に終わらせよう!」


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