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14 闇の住人

…魂を持たない生ける屍、人の姿をしたクリーチャー…その者は人としての理性は存在せず食欲のみによって、つき動かされる血に飢えた化け物、生者の人肉を喰らう闇の象徴。


よくホラー映画などに登場する…あの(おぞ)ましい存在。


…それが、ゾンビだ。




「ゾンビって、あのゾンビのことか?」

佑斗は、信じられないといった表情で俺に問いかけてきた。

「あぁ、おそらく」

俺も自分で言っておきながら、今だに半信半疑といった感覚が残っているが…この現実ばなれした空間の中だ。

(…ありえない話じゃないな)


俺達は、しばらくの間、隣で横たわる浩弥の死体と共に放心状態に陥っていたが、休息をとっている暇などないということを実感させられることとなった。


暗闇の先から、1人、2人と同じような人影が見えてきたのである。

街灯の照らす元、今度の人影は、浩弥と違い、あからさまに一目見て【ゾンビ】と分かる存在だった。


…皮膚は腐敗し、所々骨が飛び出し、変色した顔色に血に染まった口元。


「こりゃ、学校からの脱出と言うよりは、この死地からの脱出だな…」

俺と佑斗の意見は、既に一致していた。



「グランドに行こう!あそこなら、物置小屋がある」

(なるほど!そこなら、まだバットが置かれているかもしれないな)

俺も佑斗の意見に賛同し、グランドを目指し走り出した。



力の限り、走り抜き、ようやく目の前にグランドが姿を現す。

グランドにも、数体ほど、ゾンビ共が薄暗い中を徘徊している。

「奴らは見たところ、動作は鈍い。このまま一気に小屋まで走り抜けるけどいいか?」

「あぁ、そうしようっ!」

迷っている暇などない。俺は、佑斗の意見に即答した。


全速力で小屋を目指し走る俺達に、ゾンビ共は、腐り骨の飛び出した腕を突き出してくるが、動きがのろいので捕まることはなかった。

「…もう少しだ…ハァ…ハァ」

佑斗が息をきらしながら話しかけてきた。

「ハァ…あぁっ!」


ゾンビの数も少なかったのが幸いし、無事に小屋まで辿りついた。

「よし、玲駄!小屋の中から、使えそうなモノを探せっ!その間、俺が食い止めるからっ!」

「1人で大丈夫か?」

「数もそんなにいないし、何とかなるっ!武器を見つけたら、こいつらを皆殺しにしてやろうぜっ!」

「ああっ!」

その時、俺の内側から何かの快感にも似た衝動が込み上げてきていた。

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